▼▼▼

「よし、祠壊そう」

「はあ?!」


 ぽちぽちぽち、と、ノートパソコンをいじっていた春愁の突飛な発言に、こたつに足を突っ込んで、寝転がってゲームをしていた炎陽が素っ頓狂な声を上げた。


「いや今ざっと読んでみたんだけどさ」

「うん、うん。それで?」


 炎陽は起き上がってこたつの上の保温ポットから自分の分と春愁の分のお茶をそれぞれの湯飲みに注いだ。


「まあ要するにドキュメンタリー風のフィクション動画がメインなんだよ」

「よく分からないけど、うん」

「ありがとう。でさ、まあ色々なことを色んな人たちがやってるわけさ。で、じゃあ俺たちが出せる特色は何かって考えたら、祠壊しても祟られないなって」

「祟られるでしょ。全力で神様ご本神ほんにんから怒られるじゃん」

「だからこそさ、ちゃんと神様に許可取って壊せばいいじゃん。祠壊すのも流行ったし」

「流行ったけどさ。誰が自宅壊され……んあー、祠である必要ないのか。そんな区別そうそうつかねぇか」

「そ。本殿修理のための一時遷宮していただいたお社なら小さいだろうし、本殿修理後ならどうせ壊して廃棄するんだし、オッケーくれる神様いるでしょ」


 宇迦之御魂神様が祀られている所で修理があれば、すごく楽なのだけれど、とぶつぶつ言いながら、炎陽はその赤い髪をガシガシとかいた。

 まずは、他のキツネに話をしてみよう。誰か、一匹ひとりくらい、丁度いい奴がいるはずだ。なぜならキツネって生き物は、神様の御使いとして、全国津々浦々にいるのだから。

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