ガンハンドマン充機(じゅうき)
たかすぎしょう
第1話 トラック野郎その1
20××年10月15日午前10時10分 アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス
アメリカ大統領候補の新平和党のサステナ・ドレイク・グリーンヒルズ氏が演説を行っていた。
「我々は自然に生かされ、自然に戻るべきだ。不自然なものは徹底的に排除すべきである! まずは原子力発電所を全て廃炉にし、自然国立公園の拡充、そし、ヴォエ!!」
突如として、数発の弾丸がグリーンヒルズ氏の胸に当たった。かかりつけの医師がすぐに救護に当たったが、すでに心肺停止の状態だった。
警察はカメラマンの写真から、約1.5マイル先のホテルの窓からライフル銃を出している男を発見。すぐに、その第一容疑者がいるホテルへ直行した。
***
警官が容疑者の宿泊している部屋のドアを叩けば、中から天然パーマ頭の東洋系の男性が現れた。
「何ですか?」
「こんにちは、ジューキ・イワタ君。君にグリーンヒルズ氏殺害の容疑がかけられている。早速、部屋の中を探させてもらおうか!」
「ちょっ、ちょっと待って下さい。それって、証拠はあるんですか?」
「もちろん、あるとも。これを見ろ!」
警官はホテルの窓からライフル銃を出した男の写真を見せる。画像は粗いが、男の髪がパーマに見えないことはない。
「AI生成の画像じゃないですか?」
「複数人のカメラマンが同じような写真を撮り、フェイクの可能性が5%以下、証拠としては十分だ」
警官が目で合図を送ると、大谷翔平級の巨体の警官2人が彼の腕をつかみ、隠ぺい工作が出来ないようにした。警官達は部屋中くまなくライフル銃を探すが、一向に出て来ない。
「防犯カメラ、カードキーの記録から、この男は事件発生後に部屋を一歩も出ていません!」
「ホテルの貯水槽からライフル銃の破片1つも見つかりませんでした……」
「ホテル付近を捜しましたが、ライフル銃は見つかっていません」
「発射残差は?」
「無反応でした!」
写真は明らかにこの男が犯人と語っているのに、凶器のライフル銃が見つからなければ連行できない。銃弾の角度や32口径のライフル銃の射程距離を計算しても、この男以外でグリーンヒルズ氏を殺害できる人間はいないのだが……。
「凶器は見つかりましたかぁ?」
男はニヤニヤした顔を浮かべて警官を煽る。警官は地団太を踏んで、舌打ちをした。
「チッ。引き上げるぞ! 疑って悪かったな……」
警官達はぞろぞろ部屋から去って行く。解放された男はアルカイックスマイルを浮かべながら、トップの警官に話しかけた。
「早く犯人が見つかるといいですねぇ」
「ああ。犯人が分かったら、すぐに君に伝えるよ」
警官達がホテルから出ていくのを見て、男は体を伸ばす。
「さてと、次の仕事に行きますか」
彼はホテルの部屋を出てチェックアウトを済ませると、路地裏で天然パーマのカツラを取って、真っ黒なサングラスをかける。彼は右手をスミス&ウェッソン M36の小銃に変えて、不敵な笑みを浮かべる。
彼は、右手をあらゆる銃に変えられる暗殺者・ガンハンドマン充機(じゅうき)であった。
(続く)
次の更新予定
2025年1月10日 10:00 10日ごと 10:00
ガンハンドマン充機(じゅうき) たかすぎしょう @shtakasugi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ガンハンドマン充機(じゅうき)の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます