第9話

そういったお客と過ごす時間は長く、必然的に床入りの時間も長くなる

そうすれば、病気や妊娠をする可能性が高くなっていく



その確率を少しでも下げるため、遊郭の女は男の焦らし方を徹底的に、叩き込まれる




その1つが酒だ。強い酒は一時的に理性を取っ払うがその分落ちるのもはやい



引っ張るだけ引っ張って、飲ませられるだけ飲ませるのがここのやり方




「そろそろ...」



真っ赤な顔をして、着物の隙間に指が滑り込んできたのは、約一刻(2時間)を過ぎた頃




限界か......




花魁は自らを決して安売りしない

床入りのタイミングも決定権も決して相手に渡してはならない

慎ましくお淑やかにしかし、この一夜の手綱は自分が握る

それが出来て初めて真の花魁になれるのだ



そっと男の手に自分の手を重ね、指同士を絡めながら、ゆっくりと寝床へ引っ張って行く



こうなると、どの男も皆同じ

欲望にまみれた汚いケモノの顔

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