第7話

ーーー......



部屋の隅々まで甘い香の匂いが満ちた頃



ペタペタと廊下を歩く足音に続いて、男のものであろうドシドシとした音が聞こえる




小さく息を吐くと私は襖に向かい姿勢を正した




「失礼したします」




菊の声を合図に私は頭を下げる




それを待っていたかのように、一拍開けて襖が開いた



  

「ようこそ、おいでくんなましぃ」




あえて低めに声を出し上目遣いになるように計算しながら頭を上げていく





そこにいたのは美しい着物を纏った男




明らかに似合っていない高価な着物を身に纏った男は、ニタニタと気持ち悪い笑みを浮かべている




あぁ、着物がかわいそう

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