第4話

辺りが薄暗くなり始めた頃私達の世界は動き出す





トタトタと部屋の前を走る足音を聞きながら、私は鏡に向かい白粉を顔全体に丁寧に塗りこんでいく





次に、紅い口紅を指にとり唇へ




最後に黒い墨で目元に線を入れれば完成だ





黒、白、紅の三色

これらをいかにうまく使い妖艶な女を創り出せるか



それは私達自身の腕にかかっている





化粧が終わると次は部屋全体にお香を焚く




甘く香るモノを





そうしている間にも、時刻は初めの客を向かえる半刻1時間前になっていた




そろそろ着替えをしなくては間に合わない




どうせすぐに脱ぐのになんでわざわざ着替えなければならないのか、私にはサッパリ理解できないけど





きく




私が廊下への襖の外に声をかけると、スッと開き入ってきたのは、真っ赤な着物を手にしたまだあどけない顔の1人の少女

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