第2話 

明けた。明けたぜ日本の夜明け。

何にもない毎日をどうにかしようと、スポーツクラブのウェブ広告をどんどん見ていくぜ。

でもインストラクターのお姉さんのレオタードみたいなのから推測できるCカップにしか目が行かないぜ。

このお姉さんは、広告用のモデルだよな…うちの近所のクラブにいるわけじゃないんだろうな…それって軽く詐欺じゃないかな。

お姉さんに会いたくて入会した情弱のお爺さんとか絶対いるよな。

え。情弱の使い方まちがってる?


私は今機嫌が悪い。

常にご機嫌でいることを心がけ、フキハラ、モラハラを受けることはあっても決して加害することのない私であるが内心気分が悪いことは多々ある。

ていうかほとんどの毎分毎秒気分が悪い。

世の中の全てが、キラキラしたものを一瞬だけ見せつけて、それに飛びついたら実はそれはPR用の何ちゃらでしてでもお客様にはお客様向けのうんちゃらかんちゃらが…とかなんとか詐欺をかますタイミングを計っているだけのハリボテだからである。

いかん、また長文が飛び出てしまった。

経歴的には高卒であるが、一応地元のFラン大学にまったくノー受験勉強で受かってしまった私の持って生まれた知性が滲んでしまうのである。

もちろん、親に学費を捨てさせるような親不孝はかましていない。

入学金と前期授業料と寄付金だけは払って貰ったけど、その後速やかに中退し実家で家事手伝いをするなど親孝行に勤しんできた。

そして、その後30手前で親父のゴリ押しで地元の役所にくっついてる財団にコネ入社である!イエーイ!人生勝ち組!

と思ったのも束の間、財団て、なんかカネモチぽくない?財の団だよ?だからポクチンも当然、これから毎日なんとなーくデスクに座ってネットサーフィンしてるだけで月30万くらい貰えるのかなっておもてたんだよ。

そしたらさ、全っ然、むちゃくちゃ重労働のうえにお給料は16万スタートである。これ、手取りじゃねえんだぞ?こっから訳わかんねえ金額とられて手元に12,3万しか残んねえんだぞ?

おい、マジかよ。信じられんのよ。

絶望ですよ、ホント。

実家暮らしだからなんとか生きていけるけど、貯金もままならない、ガチャでこさえた借金を親に月五千円ずつ払うので精一杯の人生なんだよ!


おっと話がそれすぎた。もちろん親に借金は完済済である。CMで「消費者金融へお金を返したそこのあなた!まだ間に合います!そのお金、返ってくるかもしれません!」と呼びかけられるたびに、えっ!って振り返っちゃうけど、おりゃお母さんから借りてたもんなー利子無しで。なんも返ってこねえなあーと絶望してしまうので、親に返した金のことがいつも頭から離れないのである。


親のコネで就職ゲットなんて不況極まる平成後期にラッキーボーイだと思ったか。

全くだ!全くのノーラッキーだ

なんでかつうと、もともと俺がこんなVaundyによく似た天然パーマ小太りで実家暮らしのまま地元で勤続12年になってしまったのは親のせいだからである。

そして今日の俺の不機嫌もそんな親のせいなんだ。

俺呼びだな、今日の俺。仕事を離れ自由な精神を取り戻したとき、俺にBボーイの魂が返ってくる。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る