1話 初恋は猫でした

第1話

羽馬千香子編



 なんでもかんでも好きになることはないけど、好きになったものには次から次へと興味がわいて、それだけで頭の中いっぱいになって、そのことばっかり考えてもっと知りたいと調べてしまう。

 ひとりっ子だったせいもある。子供図鑑が全巻取り揃えられていたのもある。誰にも邪魔されずに好きなことについて、とことん夢中になれる環境はできあがっていた。


 数年飼っていたジャンガリアンハムスターや、ある日庭先に迷い込んできた雑種の野良猫。偶然テレビで見かけた動物が主役のアニメなど。

 好きなものは突然前触れもなく目の前に転がりこんでくるのだから、毎日が忙しくて充実していた。


 だから、人間の女の子としての大切な準備期間をすっ飛ばして、突然人間の男の子に恋してしまったもんだから、失敗の連続がはじまった。

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