第15話 ウルスナ・ラーグからの魔術書簡!
『親愛なるわが弟
ベルベッチア・ラーグ様
ベルベ、最近調子はどうだい?
何か変わったことはあった?
アタシは今、東の大国、ルーザム王国に来ています。
この国はすごいよ。
夜中でも街が煌々と明るいんだ。
悔しいけど、ザーザント王国より随分都会という感じて、馬車ではなく、自動車というものが走っているんだよ。
この自動車がどんなものかは、実際に見てみないとわからないだろうね。
アタシもそれに乗ったんだけど、快適で驚いたよ!
ほとんど揺れないし、音も静かだし、スピードだって馬車よりもずっと速いんだ。
おそらく近い将来、馬車から自動車に完全に移動手段は変わるだろうね。
ああ、あと、運よくこのルーザム王国で一番の占い師に運命を診断してもらえる機会を得てね。
その時に、かわいい弟であるアンタの運命も診断してもらったんだ。
そしたら、アンタは今月から人が変わったみたいに運命が激変するんだって!
いよいよベルベも本気を出すってこと?
まあ、せいぜい頑張りなさいよ!
アンタにはアタシも何でか知らないけどちょっぴり期待してるんだからね!
ああ、そうそう! それで、さあ、赤い髪の女って、今、アンタの側にいる?
もしいるなら、その女はアンタにガチ恋してるらしいよ。
それで、今はその女、大人しくしてるだろうけど、いずれすごく重くてヤバい女になるから注意するようにって!
重い女って言っても体重のことじゃないよ。
アンタに執着して周りがだんだん見えなくなっていって、ゾッとするような行動を取ったりするってこと!
まだベルベは子供だからわからないかもしれないけど、深く関わるのはよした方がいいかもしれないね。
でもね、その女を手放すとアンタの人生が良からぬ方向に動き出すともその占い師は言うわけ。
だからさ、アタシ、だったらどうすればいいのって訊いたんだけど、そしたらさ、その占い師も女なんだけどさ、女は本気で恋をするとみんなそうなっちゃうんだって言うんだよ!
そんなわけだから、その赤い髪の女のことをどうするかは、ベルベ、アンタが自分で考えな。
アンタが自分の運命をいい方向に変えるために、その重くてヤバい女を側に置いておくって言うならアタシは別に反対しないよ!
ああ、あと、このルーザム王国に来ればアンタの願いが一つ叶うとも言ってたよ。
もしかしたら観光客を増やすために全員に言ってる嘘なのかもしれないけど、もし信じるならもう少し大きくなったら一度この国に来てみるといいよ。
きっと驚くことがたくさんあるだろうから!
じゃあ、またね!
そうそう、くれぐれも父さんと母さんにはこの書簡のことは内緒にしといてね!
今いる場所がバレたら連れ戻すために追っ手を送られるかもしれないから!
じゃあ、そういうわけだから、次の国に着いたらまた魔術書簡を送るね!
それまで、元気でいるんだよ!
バーイ!
アンタのことを愛する姉
ウルスナ・ラーグより』
その唯一の姉から届いた魔術書簡を読み終えてデスクに置くと、なんと新たな魔術書簡が俺の手の中に現れたのだった。
その差出人の名前を見て、俺はさっきウルスナ・ラーグの名前を見た時よりも何倍も驚いてしまった。
キャロライン・ミンゼー。
それは言うまでもなく、一方的に向こうから婚約破棄をしてきた俺の元婚約者の名前だった。
俺はウルスナ・ラーグへの魔術書簡を書き送ってから、その魔術書簡の封を乱暴に破いた。
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( 〃▽〃)
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