魔眼と聖眼の闇剣士(ダーク・ソーズマン)~魔眼と聖眼の価値に気づかず死ぬ怠惰な悪役貴族に転生したんだが、実は完全クリアの鍵を握る超重要な隠れ主人公だった件。てか、俺の周りにはヤンデレ女しかいないの?~

沢木名湖

第1部 悪役貴族と不死の悪魔

第1章 ラーグ侯爵夫人殺人事件

プロローグ―前世での最後の甘い思い出!

与志原よしはらくん、ちょっといいかな?」




 そう俺に声を掛けてきたのは、クラスのマドンナ、椎野しいのゆめの。


 この日もトレードマークである黒髪ラビットツインテールがツヤツヤ輝いている。


「ごめん、これから速攻で帰ってゲームしたいから、悪いんだけどまた今度ね!」


 俺がそう返すと、椎野ゆめの は唖然あぜんとした顔でこちらを見つめながら、こう言ってきたのである。


「・・・・・・与志原くん、私より優先したいゲームって、一体どんなゲームなの?」


 うわ、とんでもない高飛車発言!


 さすがはクラスのマドンナだ!


 対する俺は陰キャぼっちのゲームオタク。


 小学2年生から知っている仲だが、今やクラスでの立場は天と地ほどの差がある。

 

 彼女にとっても俺なんかと関わらない方がいいに決まってる。


「椎野さん、君は確かに美人さんだよ。でも、俺は超大作恋愛冒険アクションRPG『サーザント英雄伝』に出てくる銀髪 碧眼へきがんの高貴な美少女とか、燃えるような赤い髪と紅い瞳のボンキュッボンのスタイル抜群のお姉さんとかがタイプだから、正直君のことはなんとも思わないんだよ!」


 

 ――バチンッ!



 「ふぇっ?」


 突然クラスメイトに平手打ちされて、俺は驚きのあまり、ついそんな変な声を出してしまった。


「与志原くんのバカ! せっかく付き合ってあげようと思ってたのに! この根暗のゲーム廃人! さっさと死んじゃえ! ・・・・・・嘘。・・・・・・ほんとに、ほんとに、昔から好きだったのに。・・・・・・もう、絶対後悔させてやるんだから! 明日、そのゲームのキャラのコスプレで登校して絶対に好きって言わせてやるんだからね! その時付き合いたいって言っても・・・・・・もう遅いんだよ! ・・・・・・って、これも嘘! 嘘だよ、与志原くん!」


 俺はそのあまりの情報量に混乱してしまい、こんなことを口走ってしまったのだった。


「・・・・・・えっと、嘘って一体どれが嘘なの? コスプレで登校してくること? それとも俺のことが好きって言ったこと? それとも後で付き合いたって言っても遅いって――」



 ――バチンッッッ!



 「ふぇっ?」



 椎野ゆめの は、俺のもう一方の頬をさっきよりもさらに強く平手打ちしてきた。


「椎野さん・・・・・・」


「それ以上何も言わないで! じゃあ、与志原くん、また明日!」


 椎野ゆめの は一方的にそう言うと、俺を誰もいない教室に置き去りにしていなくなってしまったのだった。



 あの次の日、椎野ゆめの は本当に『サーザント英雄伝』のキャラクターのコスプレをして高校に登校してきたんだろうか?


 もしそうだったなら、俺は彼女のことを思いっきり抱き締めて、ごめん俺も実は前からずっと好きでしたと正直に告白してしまっていたに違いない。


 でも、結局俺はその姿を見ることはできなかったのだ。


 


 なぜなら、その日の夜に(たぶん)死んでしまった俺は、その『サーザント英雄伝』の大多数のプレイヤーとキャラからエグいぐらいに嫌われているとんでもなくあるキャラクターに転生してしまったのだから。



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 毎朝7:06 に更新します!


 完結までノンストップで全力で走り抜けようと思っていますので、よろしければ、☆☆☆評価や、いいね、作品フォローなどしていただけると幸いです。


 作者の何よりのモチベーションになりますので、何卒、よろしくお願いいたします( 〃▽〃)




【最新作❗】

また、第1話からまったく違う実際にゲームをやってるような感覚で読めるゲームに特化した話に書き直した


【全面改訂版】『魔眼と聖眼の転生極悪貴族は悪役ができない!?』


 も公開開始しました! こちらも自信作なので是非!


https://kakuyomu.jp/works/16818792438823498328

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