異世界クラフト ～MyTuber アラタのVlog～

■０８６，『アラタ＋異世界を変えてみた』

「アラタ様、各国から問い合わせが……」

　エドガーさんが息を切らせて駆け込んできた。

「エドガーさん、落ち着いて」

　アラタの商品は、今や異世界の

　あらゆる国で注目されていた。

　香水に始まり、調味料、チョコレート。

　そして、アラタが作り出す文化そのものが。

「パパの商売、すごいことになってるね」

　リュウが新聞を読みながら言う。

「アラタ、有名人！」

　スノーが得意げに尾を振る。

「でも、これは俺一人の力じゃない」

　アラタは家族を見渡す。

「みんながいたからこそだよ」

　エルメスが微笑む。

「私たちも、アラタ様と一緒に

　歩んでこられて幸せです」

　ユナは母の隣で魔法の光を浮かべている。

　人間とエルフの架け橋として、

　彼女も大きな役割を果たしていた。

「各国の代表が会議を望んでいます」

「エドガーさん、ついに異世界商業連合の話ですか？」

「はい。アラタ様を中心とした、

　新しい商業の形を」

　それは単なる商売の話ではなかった。

　異世界の文化そのものを

　豊かにしていく試みだった。

「商業学校も、各国に広がってます」

　リュウが報告する。

「お兄ちゃんの教え方、

　みんなの参考になってるんだって！」

　ユナが嬉しそうに言う。

　チョコレート工場は、

　今や異世界の名物となっていた。

　そこで働く職人たちは、

　新しい味を次々と生み出している。

「これぞ、異世界チョコレートですな」

　ハドソンさんも誇らしげだ。

「アラタ様、思い出しますか？」

　エルメスが優しく問いかける。

「ああ。あの頃は、ただ動画を撮るために

　異世界に来ていただけなのに」

　今では、街全体が変わっていた。

　アラタが作った学校で学ぶ子供たち。

　商業学校で夢を追う若者たち。

　異世界の伝統と、地球の文化が

　溶け合って、新しい何かを生み出していく。

「パパ、これからどうなるの？」

　ユナが不思議そうに尋ねる。

「そうだな……」

　アラタは空を見上げる。

「きっと、もっと素敵な世界になる」

　エルメスが答える。

「異世界と地球の文化が出会って、

　新しい何かが生まれていく」

「僕も、その手伝いができて嬉しいよ」

　リュウは教壇に立ちながら、

　そう感じていた。

「あちし、アラタの夢、応援する！」

　スノーは今でも、

　アラタの一番の応援者だ。

　商業連合の会議で、

　アラタは提案した。

「単なる利益だけを追求するのではなく、

　人々の暮らしを豊かにする。

　それが、私の目指す商売です」

　各国の代表たちは、

　深く頷いていた。

　アラタの言葉に、

　確かな重みを感じたのだろう。

「これからも、家族と共に」

　アラタはそう誓う。

　エルメスが手を握り、

　リュウとユナが寄り添い、

　スノーが尾を振る。

　異世界は、確実に変わっていく。

　アラタの商売は、

　そんな変化の風を運んでいた。

　これからも、家族と共に。

　新しい時代を、切り開いていこう。

　月明かりが、優しく家族を照らしていた。

　まるで、未来を祝福するかのように。