■009,『アラタ+畑を作ってみた』

「さて、今日は地球で買った植物を、異世界に植えたいと思う」

>>大丈夫なの?

>>バイオテロになんない?

「わからん。いざとなったら、魔法で殲滅させる。それと植えるのは、俺個人が食べるためだけ」

 目指せ、自給自足。

>>なんだ売らないのか。

>>食べ物俺TUEEEできそうなのに。

「まぁ、調理したモノを売るのは、今後やるかも。少なくとも今は、食材を売る気はない」

 話ながら、魔法で土を耕す。

「やっぱ魔法って凄いよな。こうして会話してる間に畑できたぞ」


>>なに植えるの?

「植えるのは、タマネギ、ニンジン、ジャガイモ。とりあえずそんなもんで」

>>カレーかよ!

>>シチューかもよ?

>>いや、肉じゃがって可能性も。


「基本の野菜を作って、あとは食べたいときに育てる。それじゃ、『成長促進』」

 あっという間に、植えた野菜が育っていく。

>>アラタって、エルフの血筋なの?

「え、違うけど」

>>この魔法、いわゆる『種族魔法』じゃね? その種族しか使えない、はず。


「あとは家のまわりに、花も植えようと思う」

>>意識高いじゃん。

>>花で一番好きなの何?

「桜」

>>まだ寒いから、咲いてねぇ草

「ふふふっ、この俺にかかれば……」

 アイテムボックスから、通販で買った1本・3,000円の苗を並べていく。

>>どんだけ買ったんだよ……。

>>観光地でも作る気か?

>>何本あるの?

「100本買った。30万かかったわ」

>>業者だわ!

>>イタズラだと思われる。

「電話で事前に確認とっといたから大丈夫。社会人ですから!」

>>お、偉いじゃん。

「だろ? んじゃ、植えていきます。『植物魔法』っと」

 すると、苗木がテクテク動き出した。

>>動いた!?

>>実は魔物説!

「これは魔力で移動させてるだけだから、苗木自体が動くようになったわけじゃないぞ。植える間隔って、これくらいであってる?」

>>わからん。

>>余裕もって広めにしとけ。

「わかった、おとなしく広めにしとく。でも100本は多すぎたな。家のまわりだけじゃなくて、街までの道も桜並木になるな」

>>育ったら、ちょっとした名所になる。

>>花見しようぜ!

「そう、花見! もうすぐ登録者数1万人いくじゃんか。記念に花見しようぜ!」

>>だから咲いてな……って!?

>>まさか!?

「『成長促進』!!!!」

 ワサワサと上へ上へと育っていく。

>>絵本の世界だ。

>>童話にもあったな。

>>懐かしい……。

「お花見配信、みんなも料理とか準備してな!」


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