「普通の幸せ」が欲しいけど「異常な幸せ」しか掴めない。ところで今宵の夜風は俺の心と同じくらい冷たい。

Unknown

【本編】

 大晦日の昼間、車を運転してコンビニに行った。あ、もちろんシラフで。


 それでコンビニの駐車場に車を停めたら、柵の向こうに普通の一軒家があった。普通の庭で、楽しそうなお父さんと楽しそうに笑う娘さんが、二人で縄跳びで遊んでた。今の俺には、そんな「普通の景色」がどんな宝石よりも輝いて見えて仕方なかった。


 楽しそうに笑う父と娘の光景を見て、つい、あの人の事を考えてしまい、車の中で泣いてしまった。俺も誰かも、多分こういうありふれた「普通の幸せ」だけが願いなのに、「普通の幸せ」だけにはどうやっても手が届かない。いつも。


「異常な幸せ」なら、俺はいつもすぐ手にすることができるんだけどな。異常じゃ全く意味が無いんだよなー。俺の読者の人なら、この感覚が多分ある程度分かってくれるはず。ちなみに俺は21世紀の精神異常者なので、本当はすぐにでも精神科に行きたいけど年末年始は閉まってる。


 普通の幸せなんて、そもそもあるのかな。そんな綺麗なものって。


 俺が高望みしすぎなだけの気もする。


 本当に、俺は異常な幸せだったらすぐに手に入る。


 自慢みたいになるのが嫌で今まで言わなかったことがある。初めて言うが、俺は、生きてる中で9回くらい女の人と「恋愛に限りなく近い関係」になった。いや、ちゃんと数えたらもっとある。


 どれも、女性側から俺を好きになってくれたっていう流れだった。そしてそのすべての女性が病んだ経験を持っていた。いつも俺に似てる人が俺を好きだと言ってくれた。


 あ、俺がしてきたのは全く恋愛じゃないです。あくまで限りなく恋愛に近い行為。


「いや同じでしょ」って思われるかもしれないが、俺の中では違った。ただ、寂しいからそばにいてほしい。寂しい人に寄り添いたい。ただそれだった。それは果たして恋愛と呼べるのか? ただ、お母さんのような安心感とか、そういうのが欲しかったんじゃないだろうか? ていうか間違いなくそう。


 この事もちゃんと精神科の先生に伝えよう。まあ、既に伝えたいことはスマホのメモに長文でまとめたが。


 シロップ16グラムの音楽を今は聴いてる。めっちゃ優しい歌もあるけど、メリモとか手首とか、他者への激しい攻撃性のある曲もある。そういう曲も好き。


 あ、ここ最近はずっと精神薬を飲むのを忘れてた。鬱の薬、まだまだ必要みたいだ。今、お茶で薬飲んだ。


 時を戻そう──。


 俺は昨日、酒を買いにコンビニに車で行って、幸せな親子の姿を見て思わず泣いちゃったから、サングラスをしてコンビニに入った。グラサンは最近買ったのだが、泣いてるのが周囲にバレないから便利だ。


 元はと言えば、好きな子を通り魔やナンパから守るために強そうな男を演じたいと思って買ったグラサンだったが、泣いてるのを隠すのに使える。便利だな。


 いつも、「普通」が一番難しい。


 なのに「普通のふり」だけが得意になっていく。大人のモノマネだけが上手くなっていく。


 実は俺は人のモノマネが得意だ。人の特徴を一瞬でコピーというか勝手に形態模写できてしまう。


 だから、相手が俺に何を求めてるのかもすぐ分かる。


 だけど、肝心の「俺」は、常にどこにもいない。「俺らしき存在が何かを演じて過ごしている」ような感じ。


 意味わからん。


 解離に近いのかなあとも思うけど、それもとりあえず主治医に相談だ。


 ◆


 自分でも感情のコントロールが物凄い苦手なのは自覚した。どうしても心の病気を改善したい。だが、どうしてよりによって年末年始なんだ。いつもの精神科病院が6日まで開いてない。どうしても早く病院に行きたい。俺が傷付くのはどうでもいい良い。でも、もう誰も好きな人を傷付けたくない。


 俺は運命論が嫌いだ。生まれた瞬間にその人の一生は決まってるって考え方。俺はどうも好きになれない。


 暗い運命なんて俺が変えてやる。


 っていう気持ちが、いつもある。


 それだけが生きてる理由かもしれない。普段から泣きまくってるけど、やっぱり俺の心の中では、頑張りたい気持ちも多い。


 試しにスマホの内カメラで自分の顔を見たけど、「ありえないほど心が空っぽ」みたいな人間の顔をしていた。めっちゃ病んでそうな奴の顔をしていた。


 心が明るくなったかと思うと、ボロボロ泣きまくる。だけど唯一決めているのは、絶対に死なないこと。死ぬことだけは本当にしない。


 俺はメンタルヘルスの本や哲学や思想家の勉強をして、それなりに知識だけは増えたが、実態はただのメンタル疾患の男だ。


 前回はわざととても明るいテイストのエッセイを書いてたが、ずっと無表情だった。明るく成ったフリだった。


 俺はモノマネが得意だ。男のモノマネも女のモノマネも得意。形態模写が得意。


 ◆


 っていうか、完全に忘れてたけど、もうとっくの昔に年が明けてるやんけ。


 ハッピーニューイヤホン。


 大晦日は実家には行かずアパートで一人で酒飲んでタバコ吸ってた。


 大晦日は、いつもは実家に帰って猫と遊んで過ごすが、今年はあえてアパートで1人で過ごそうと思って、そうした。テレビは興味ないから一切つけずにパソコンだけの光だけで年を越した。っていうか、俺はいつも通り年を越す前に普通に寝る。


 紅白歌合戦をとりあえず点けておいて年末感を得るのもいいが、そもそも紅白に出てる歌手で見たいアーティストが今年もいないし、最近、運悪くテレビが電源を入れても全く点かなくなったンゴ。


 アパートの小さいテレビが壊れて困ることは正直ないが、野球とかお笑い番組とかリアルタイムで見たい時にテレビがないと困る。でも今はもうテレビすらネットの配信サイトで過去の分の配信とか見れるし、本当に今はテレビの需要が減ったよなー。


 テレビでユーチューブばっか見てる年配の人も今は多いだろうと思う。


 ちなみに俺が加入してるサブスクはすべてAmazon関連だ。個人的に外に出るのが好きじゃないから、Amazonで買い物することが多い。あとは音楽ばっか聴いて色んな妄想をしながら暮らしてるので、Amazon musicにもクッソ世話になってる。


 音楽も月に1500円? くらい払うだけでどんなアーティストも聞き放題って、今の時代は生きてるだけでマジで最高。1枚のシングルの値段で何もかも聴き放題って、レコードとかMDとかカセットテープとかの時代を生きてた人にとっては革命以外の何物でもない。だってCDとかipodやウォークマン世代の俺ですら革命だと思うもん。


 俺は高校生とか専門学生の時は基本は学校をサボって電車に乗ってTSUTAYAに行ってCD借り、しばらくネカフェで過ごし、帰宅し、パソコンに入れてそこからipodに入れるという、今思うと面倒すぎる作業を強いられていた。


 まぁ、そもそも学校行けよって話だけど。


 でも、わかるひとは絶対わかってくれると思うんだけど、学校のあの狭い閉鎖空間って本当に社会不適合者にとっては単なる地獄に他ならねえよな。そりゃ多感な10代の頃から精神疾患になったり、未来に絶望して俺みたいな不登校も増えまくるわな。たしか、過去最多なんだってね。少子高齢化が加速してるけど、不登校の数は過去最多。


 どう思うかは人の自由だけど、俺個人の意見としては、めちゃくちゃいい傾向だなーと思ってる。


 今はリモートワークとかも増えた。今までの世の中が絶対に間違ってたんだ。今は多様性って言葉を嫌って程聞くが、俺自身も多様性を重んじている。


 学校とかいうシステムを構築した奴、かなりアホだろ。十人十色とか謳うくせして、周りと合わない奴だけはいじめられる。これはどう考えてもシステムの構造そのものに欠陥がある。


 俺も高校で野球してた時にいじめに遭ったり、初恋の人を他の男の性犯罪のせいで失って高校生からアルコールに依存するようになったり、教室で自分から誰とも会話しなくなったりした。


 今の時代は考えが柔軟な親が増えたから、もしも今の時代に俺が高校生だったら、親も「泣くほど高校に行くの辛いなら、無理していかなくていいんだよ」とか言ってくれたのかな


 俺は担任に精神科を勧められるほどにストレスで頭が壊れたが、親に高校だけは絶対に出ろって言われて、引きずられながら登校して3年間でちゃんと卒業したから、卒業式の日に泣きまくった。やった。これで解放される! っていう喜びで、マジで感動で大号泣した。


 その帰りに、校門に唾を思い切り吐いて、「2度と来ねえよ!!!!!!」と満面の笑みで叫んだ。


 ちなみに誰よりも早く校門にたどり着いた。


 高校はマジで人生で最も頭が壊れた3年間。だから、クラスメイトの名前も顔も覚えてない。というか、卒業まで覚える気がなかったわ。


 話が長引いた。


 学校はこのように簡単には親が辞めさせてくれねえ。その分、バイトとか会社とかは、「合わないなー」と思ったら気軽に転職できる。


 だけど、学校の場合は逃げたくても気軽に逃げることも許されない。俺は子供のころから、それが不思議で仕方がなかった。「どうして大人は簡単に逃げられるのに、子供は同じ学校にずっと通わないといけないの?」って。


  まぁでも俺が不登校の子供を持つ父親だったとしたら、不登校になった子供のことを逆に褒めまくる。


「よく勇気出して学校休んでくれたな。●●が辛いことに気付けなくて本当にごめんな。ごめん」


 くらいの最低限の優しさは絶対に与える。


 俺自身が不登校になったとき親に同情とか一切されなかったから。むしろ攻撃だけされた。


「学校なんて行きたくねえなら行くなよ。学校辞めたって別に死ぬわけじゃねえだろうが。てめえバカだろ」


 って親が言って味方になってくれたら、俺はこんなに頭がおかしいやつにならずに済んだのかな。


 いじめで死ぬニュースは本当につらい。


 俺がもしそいつの親になれてたら、いじめられてたりして無理してる姿に絶対に築いて「これ以上無理すんな。もう学校に絶対に行くな」って言えたのに。


 もういじめられてる奴なんて、言葉でいろいろ言われなくても、目を見りゃ一発でわかるんだわ。高校の時の俺と同じような目をしてたら、それだけで死にたいのか生きたいのか判別がつく。


 おーん。


 なんか考えるのめんどくせえ。


 ◆


  俺は新年一発目から死ぬほど暗い文を書いてるが、書いてて楽しい。


 俺が文を書くのは排泄行為に他ならない。


「今から出来るだけ綺麗な装いのうんこを今からしますから、どうか僕のうんこを愛してくれ」


 っていう倒錯した気持ちで書いてる。これはマジで。うんこしたくなったから、便所にうんこする感覚で文をいつも好き放題に書いてる。だから俺はとんでもない露出狂の変態と言える。でも本当に自由に文を書いてるのがめちゃくちゃ楽しいし、大好き。


 本当に文を書くことが大好きだから、何も苦痛じゃない。


 あと、うんこなんてどんだけ綺麗に演じてもうんこでしかない。


 なので俺としては「いいのかい? 今から君が食べようとしてるのは、うんこ味のカレーじゃなくて、正真正銘うんこ味のうんこだぜ? これ食ったらあんた、変な奴になっちまうぞ」みたいな気持ちがある。


 でも、それが楽しい。世の中色んな人がいるべきだ。


 俺は特殊な方法の創作スタイルだと思う。


 unknownという一人の男の人生そのものを一つのコンテンツとして書いている。


 分かりやすく言うと俺の人生そのものを一つの小説にする感覚で生きてる。


 だからもう俺は、俺自身の人生を一つの小説やドラマのように捉えるようにしている。その方が楽しい。


 自分の人生を暗い内容の映画だと思うと生きるのが楽しい。


 俺は心が辛くなったら、ここに逃げ込めるから、幸せだなと思う。


 みんなありがとう。


 ◆


 最後に今年の抱負を書いて終わる。


 やっぱり一番は、ちゃんと通院を再開して、主治医にも言えなかった本当の自分の心の闇について伝えて治療したい。やっと色々気付けたから。


 あと初詣は一応、軽く行こうかな。近い神社に。一応、1円だけ入れてガラガラをならして神に祈っておく。


 願いたいことは山積してるが、うーん、とりあえず、何を願うか。


「無理せず体重5キロ落とせますように」みたいなライトな願いにしとく。





 終わり


 

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「普通の幸せ」が欲しいけど「異常な幸せ」しか掴めない。ところで今宵の夜風は俺の心と同じくらい冷たい。 Unknown @ots16g

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