秘技・迷子のフリ!✧キラーン!!
***** 竹取物語のお爺さん視点です *****
ワシは竹取の翁と呼ばれるジジイじゃ。世間では讃岐の一地方を取り仕切る有力者、
お前らも貧乏なくせに!
隆盛を極めんとする方法が無い訳では無い。じゃがそのための
養女を迎える事も考えた。が、
黄金? はて……気のせいじゃろうか?
この暗闇の中、竹林の向こうに
光の方へ歩いて往くと、竹林の光に囲まれた一帯がまるで暗闇の中に光の浮島の如く浮かび上がって見える。 そしてその真ん中に女児が
ワシは竹林で黄金に輝く宝玉を見つけてしまった……ようじゃ。
◇◇◇◇◇
***** かぐや姫(?)視点に戻りました *****
さて、困りましたわ。
竹林の中で一人、しかもスッポンポンの子供を見ず知らずの場所へ放り込むって、月詠様(仮)は何て酷いことをなさるのでしょうか。このままでは風邪をひいてしまいますでしょ!
子供はすぐに熱を出すのよ。(プンプン)
昔話の様に竹の中にいた方がまだ良かったかも知れません。
……あ、でも竹の中だったら誰しもが思うあの疑問。
『お爺さんが竹を切った時、かぐや姫はなぜ真っ二つにならなかったのか?』
を身をもって体験しなければなりません。そんなリアクション芸人みたいに体を張った実験はさすがに嫌です。
ここが竹取物語の世界だとしたら、いずれお爺さんが来るはず。
しばらく待ちましょう。
……………あ、誰か来ました。
思ったより早かったですね。頭の片隅みに2,3日待ちぼうけする自分の姿がチラッと思い浮かんでおりましたので、ホッと安堵しました。
ホッと安堵、……ホットサンド。お腹も空きました。
「そこの娘よ、お主は何処から来たのじゃ?」
あ、やっぱお爺さんだ。でも思っていたより若くて、少しお年を召したオジサンっぽい感じです。この方が竹取の翁さん? 竹取物語の
……でもどうしましょう?
『私はかぐや姫。1400年の未来から時の流れを超えてやって来ました』
と正直に言っても信じて貰えないでしょう。幼い子供がべらべらと喋るだけでもドン引きモノです。
とするとここはやはりアレよね。
「……わかんない」
秘技・迷子のフリ!( •̀ω•́ )✧キラーン!!
「おう、そうかそうか。こんな所で心細かったじゃろう。とりあえずウチへ来るがいい」
やった! 親切そうなオジサンで良かった。オジサンは手を引いて私を屋敷へと連れて行ってくれました。
「婆さんや、竹林に女の子が迷い込んでおった。 何か温かいものを持ってきてくれないか?」
「おぉ、何て可愛らしい女の子じゃないですか。大変だったねぇ。まずは何か羽織るものを用意しましょう」
出迎えてくれたお婆さんも良さそうな人に見えます。
どうやら私は安定した異世界ライフが送れそうです。
◇◇◇◇◇
ここで古典『竹取物語』の世界を(頭の中で)お攫いしてみましょう。
竹取物語は大学で仲の良かった友達の卒論テーマでしたし、私のテーマとも被る部分が多かったのでお手伝いもしましたから、細部までよーく覚えております。
時代は飛鳥時代末期。
平安時代と勘違いしている人もいますけど、例の五人の求婚者達は実在の人物、もしくは実在の人物をモデルにした
場所は讃岐。
物語の中でお爺さんの名前は『讃岐の
讃岐神社へ行ったことがありますので、スマホがあればその時に撮った写真が有るはずです。残念ながら、月詠様(仮)に取り上げられたらしく、こちらへスマホを持ってくることは出来ませんでした。授業中スマホを弄って先生に取り上げられた高校生みたいなものかしら。中を見られて困るモノは無かったと思いますが、中身を覗こうともセキュリティはバッチリです。神様の御力と
現在の年齢は、不明。
物語では竹から生まれた時のかぐや姫は3寸(約9センチ)でしたのが、三ヶ月で妙齢の大人になったとあり、ブロッコリー並の成長をしました。しかし今の私が身長3寸と言うことは無さそうです。お爺さんに手を引かれていた時の感じでは、70〜80センチ位はあったと思います。でなければ、お爺さんが身長15センチしかないのか、のどちらかですね。
とりあえず今後自分の身がどのように成長するか要チェックです。
……
そしてかぐや姫の
かぐや姫の特徴と言えば、光り輝いて屋敷じゅうを光で満たしたとあります。現代ならば電気代の掛からないLEDライト扱いです。しかしこの時代の人には光るだけでも大層なものだったかも知れませんね。
ところで私って光るのかしら?
疑問に思ったら即・実験です。早速、心の中で「光れ~光れ~光れ~」と唱えてみました。
……え?
自分の下に影があります。下に影があるという事は……? ふと見上げると光の玉がふよふよと浮かんでおりました。思い返してみれば、先ほどの竹林でも上方が同じ色に光っていました。あの時の発光源はどうやら私の仕業だったみたいです。
まあ、光るだけなら害は無いでしょう。物語の中では、光を見たお爺さんが苦しいことも腹立たしいことも治まったとありました。試しに今度お爺さんに光を当ててみましょう。
決して好奇心に身を任せた人体実験ではありませんよ。……決して。(汗)
そして財産。
こう言ってしまっては身も蓋もありませんが、最大の関心事はやはり
原資が何なのか気になるところですが、月詠様(仮)にお願いしておきましょう。
なむなむなむ……あ! 忘れてました。
一番の問題はやはりアレですね。
私がかぐや姫ならば、性格がイマイチな五人の求婚者達と、もっと性格の悪いかぐや姫との陰湿なバトルが勃発する筈です。結婚したくないばかりに無理難題を吹っ掛け、求婚者たちが破滅していく様をほくそ笑む様な
とはいえ……求婚者達の性格は変えようがありませんので、私が変わるしか無いでしょう。
つまりはアレです。貴族社会に転生した悪役令嬢が破滅フラグを折るというラノベ的展開……なのかしら? 月詠様(仮)も『過ちを繰り返すな』みたいな事を仰ってましたから、きっとそう!
ならば性格が良くて要領のいい
オーホッホッホ……けふんけふん。
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