シーン6爆炎のドラゴン。
「やった…………」
「魔神封印と魔神具使用と能力使用………勇者の力を……この目で見たぞ。」
エルフィーナとは違う興奮を露わにするロイズ。
そして二人が私の元に集まってくる。
「ラブラちゃんーーーーーーーーーっ!?」
私をぎゅーーーーーーーーっと抱きしめてくるエルフィーナ。
私は性別は一応女性らしいけどこのエルフの反応は私を異性として好意を寄せているみたいに感じる。
するとエルフィーナが我に返り口を開く。
「やったわね!でもあの力はどこで教えてもらったの!?ラブラちゃんのそのあたり興味があるのよね?」
私にそう問いかけてくるエルフィーナ。
「精霊さん…………………」
「えっ!?」
私は記憶からの出来事を語る事にした。
「私は戦いになると精霊さんが現れて声をかけてくれるんだ……そうなると……私の脳裏に戦う時のモニターが見えてくるんだ…敵を見る能力、そして敵への攻撃の私の最大限の能力と技が示し出されてくるんだ…それを私の身体は体現できるんだよ。」
「なるほど……そんな機械的なのが勇者の能力でもあるんだね?」
「そうみたいだね……私は精霊とヒューマンの力から生まれた存在の勇者なんだ…両種族のいいとこを持って生まれた存在…そんな所だよ。」
私は、そう説明をする。
「ほお…やっぱり凄いね勇者の力……これならもしかしたら本当にあの魔王ゼルドリスを食い止める事ができるかも知れないな。」
そう語ったのはヒューマンの男ロイズ。
「確かにこんな力があるのならばきっと。」
エルフィーナがそう呟くとそこへ口を開いたのはドワーフ王だった。
「ああ……その力には全く問題はあるまい……だがまだ勇者ラブラは完全体とは言えないだろうな……」
「ドワーフ王……でもこれならいけそうではないか?」
「そうそう……あなただってもう二度も見たでしょ?あの力。」
すると…自分の大剣をその背の鞘に納めるドワーフ王。
「ああ……だが敵はあの魔王だ……お前達だってあの恐ろしい程の力は知っているであろう?」
そう言ったドワーフの言葉にエルフィーナとロイズはその表情に影を落とす。
すると口を開いたのはエルフィーナだった。
「確かにそうね………なら……やはり行かなければならないわね。」
「ああ……あの塔の最上階に棲むという………伝説の竜人に会う為……僕達は行かなければいけないね。」
私を見つめながら二人はそう言ったんだ。
◇
こうして私達はここから見える……天まで聳え立つあの塔への道を歩き出したんだ。
◇
◇
◇
私達が歩いている中…質問してくるロイズとエルフィーナ。
私の封じた魔物の事を聞いてきたんだ。
「ねえ……ラブラちゃん?やっぱり魔族を魔神化させて武器へと変化させるというのはどんな魔族でもできるものなの?」
「うーーーーーーーーーん……聞いてみる。」
私は自分の中の精霊さんに意識から問いかけてみる。
『ねえねえ精霊さん…どんな魔族でも武器に封印ってできるの?』
すると。
◇
『それはラブラの成長の仕方かなあ?強力な力を持ってる魔王なんかでは今のラブラには無理だよね。』
『そっかあ……ふむふむ。』
私は精霊に尋ねると自分が成長しなければどんな魔族という点では今は限界がある事を知る。
私はそれを説明する。
「なるほどね……」
二人の表情は険しく変化していた。
「まあでも……元々、ここの塔の主様とは交渉の方向で話は決まっていた事だから……その話の中の竜人様の協力を是が非にでも仰ぎましょう!」
「確かに違いないね……僕達は喧嘩をしに行くんじゃないんだからさ。」
するとドワーフ王が口を開く。
「ああ……まあ確かにそうなのだが……あの塔に棲みついた竜人……これまでいい噂は聞いた事はないがな……塔に近づいただけでその圧倒的な力におされ近づく事もままならないと聞くぞ。」
「そうかもしれないけど……今や勇者様とその竜人様だけがこの世界の希望なのです……私達もそれを願ってここまで来ているのです。」
そう告げたのはエルフィーナ。
すると。
いつの間にか話していた塔は眼前に聳え立っていたんだ。
私達は遙か空まで届きそうな巨大な塔を真下から見上げていた。
「遂にきたな…………」
「ええ………最上階も見えないくらい高いですね。」
「ああ…ここが古の神が建造したとされる聖なる塔『ホーリータワー』この最上階にあの竜人が棲みついているらしいわ。」
すると……突然私の背筋に悪寒が走る。
ビクッと身震いをしてしまう私。
「どうしたの?」
私に問いかけるエルフィーナ。
「なにか……この上にいるよ?」
「ええ……ここには…あなたと同じくらい……いや……それ以上に強いかも知れない魔族……『爆炎のドラゴン』と呼ばれる竜が棲みついているの……」
エルフィーナの言葉。
そして私は、ただ空を見上げたんだ。
◇
◇
◇
お読みくださりありがとうございました。
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