コヴェナント 約束の救出 ー2025.1.2.

監督:ガイ・リッチー



「想定から二転三転」


なんとなく見る前に、アッチがコッチを救出するのだろうな、と思うも、

まずはそこを裏切られる。

そしてさらにええっ、自費で行くんですか巣窟へ! のドンデン展開。

事実は小説より奇なりというが、現実だからこそあり得ないことがしれっと起きるものだ。

そこまで仁義を通す主人公らを描きつつ、かたややんわり、

しかしながらはっきりと政治批判も添えてあるあたり、

うまいなと唸らされるやら、完全に同調、感情移入するやら。


ガイリッチーは「コードネーム UNCLE」のみを鑑賞で本作が2本目。

すっかりスタイリッシュ―で茶目っ気あるおしゃんな映像かといどめば、

さすがに茶目っ気だけは抜いてある本作だった。

おかげで残るクールでスタイリッシュがアクションシーンを最高に盛り上げる。

逃げる主人公らにもう2時間近く、ハラハラドキドキでひたすら疲れた。

グッジョブ、リッチー。

わたしも一緒に相棒を助けた気分だよ。


しかし色んな種類の軍事組織(タリバン、米軍、民間軍事組織、武器商人)が入り乱れる本作、戦争の根深さを思い知らされる。停戦など、カンタンには片付くはずがない。

そしてアフガニスタンから米軍が撤退した時の、あのてんやわんやを思い出した。

飛行場に殺到した人たちがどういう気持ちだったのか、今、なんとなく想像できるような気がしている。



先日読んだ「人はなぜ物語を求めるのか」にて、創作物においてリアリティを求める時、偶然や因果のなりたたない成り行きに人はリアルを感じず、むしろ排したプロットを立てたがる、とあった。実感として経験はあるし、様々な作品を読む限りさもありなんだ。

だが現実は、それこそリアルはたまたまの偶然を含み、時にさらりと因果関係の成り立たないものごとを生み出す。これを物語内で行うとそんなことがあるものかと、ご都合主義で、わざとらしいとけなされるアレだ。


本作ではやり過ぎ、出来すぎ、ホンマカイナなことが次々起きる。幾つかの実話をもとに作り上げたものらしいが、それぞれは実際にあった、起きたらしい。ひとつの物語と並べたところで、リアルとリアリティと、我々が現実と感じるものと、現実そのものの違いについて、改めて思い巡らせてくれる作品でもあった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る