第3話 隣の家の幼馴染由乃は俺の事をいじってくる
「優!起きて!あんたの幼馴染の
俺が気持ちよくベットの上で寝ていると言うのに、唐突に部屋のドアが開かれ大声で由乃が入ってくる。
「なんだよ由乃、朝からうるさい」
正直、人の睡眠を爆音で妨害するのは、人としてどうかと思う。
「あんたが昨日言ったんでしょ、今日早起きしなきゃ行けないって」
「でも、俺お前に起こせとは言ってない…」
「ま、まあいいじゃない私が起こしに来たって。
たまたまの部分を強調して話す由乃。
ちなみに由乃と俺の関係は、ただの小さい頃からの幼馴染。家同士が隣ということもあって、気づいたら横にいた系の幼馴染で、昔には親同士の仲もいいことがあって、一緒にBBQもした事のあるごく普通の幼馴染だ。
「別にたまたまだからって起こしに来なくてもいいのに」
「だってあんた、なかなか朝起きないじゃない」
「ぐうの音も出ない…」
まあ、確かに朝は苦手でパッと起きる時はなかなかない。最近1回あったけど。
「とりあえず1回部屋から出てくれ、俺着替えなきゃいけないから」
「そうね、早く降りてきなさいよ」
よし、とりあえず由乃も居なくなったからあと10分だけ寝よう。
「それじゃあおやすみ〜」
「なにやってんのよ!」
「バレたか」
心でも読まれていたのかってタイミングで、由乃がまたドアを開けて部屋に入ってきた。
「あら優、ちゃんと起きれたのね」
「おはよう、母さん。てか、由乃まだ居たのか」
「なによ失礼ね」
由乃に2度寝が見つかったあと、着替えと簡単な身支度を済ませてリビングのドアを開けた。
リビングに入ると、何故か由乃がこの間刈谷さんが座っていたところに、座っている。
「いや〜由乃ちゃんがいて助かわ〜。こいつ、ほんとにだらしなくて」
「なんなら、さっき私が部屋から出た時もう1回寝ようとしたんですよ」
「それは、お前に止められたけどな」
由乃と母さんは昔からあっているとゆうのもあって、普通に仲がよく友達感覚で話している。
逆にその友達感覚のおかげか、せいで由乃がほぼ無許可で俺の家に入ってこれる、ようになっている。
「そんなにだらしないと、貰い手いなくなるわよ〜」
「ソウダネ〜」
貰い手と言う点なら、また失礼だけど保険として刈谷さんが居るし今の所は大丈夫…なはず。
「大丈夫ですよおばさん、その時は私が貰いますから」
「あら!良かったわね優、許嫁よ許嫁」
「母さんいいから早く朝ごはん出して」
正直この2人と同時に話してると、時折疲れる。
「はい、朝食。由乃ちゃんも食べるわよね?」
「いいんですか?なら、お言葉に甘えて」
気を使わせてかなんなのか、母さんが由乃の分の朝食も食卓に並べる。
「てか、あんたの家の朝食って結構凝ってるよね」
「そうか?」
「そうよ、だってこんな見事な和食って。私、だいたい朝は、パン1つのくらいよ?」
「まあ、たしかにそう言われると」
梶谷家の朝食は、休日を除くとだいたい焼き魚に味噌汁、米と言った和食を食べている。
「もしかして、あんたお嫁さんには毎食手の込んだもの求めたり…」
「いや、別にお互い健康に生きられるなら。てか、別にお前関係ないだろ俺と結婚する訳でもない」
「そうかもだけど…一般論、一般論としてちょっと気になっただけよ」
てか、実際に毎食こんなことしててもお嫁さんが疲れるだけな気がするし。そう考えると、母さん結構凄いことしてるのかも。
「ごちそうさまでした。母さん俺、今日は急がないとだから」
「私も行く。おばさん朝ごはんありがとうございました」
「2人とも行ってらっしゃい」
朝食を食べたあと、由乃と一緒に登校する。家から学校までは、そこまでの距離は無いため基本徒歩で学校へ向かう。
「てか、なんで今日早く起きたのよ」
「あーそれな。ただの日直」
うちのクラスの日直は、朝早く登校してクラス内のいくつかの仕事をすることが課せられているため、普通に設定した担任へのブーイングがすごい。
「日直か〜誰かとペア?」
「ペアだな。確か…刈谷さんか」
さすがに寝てるわけでも、授業中って訳じゃないし何もされないと思うけど。
「女の子?」
「女子だな。仲がいいかと言われると普通くらいだけど」
夜這いをされることについては、仲がいいの判定なのかよくわかんないし、無視でいいよな。
「へ〜女…」
「なんだよ、そんな睨んで」
「いや、なんでも優くんは、その人…刈谷さんのこと言ってる時いい顔してたなって」
え、俺そんな変な顔になってたの?絶対誤解だろ絶対。
「そんなことないだろ、まさか刈谷さんで。まだお前の事考えた方がいい顔できる自信あるぞ」
刈谷さんは、名前が出るだけで
「そ、そうな、ならいいのよ。だから何って感じだけど、いい意味として受け取っとく」
「それは何より」
今更だけど、由乃ってこんな性格だったっけ?小学生くらいまでは、もうちょっとおしとやかだったから気がしたような…
「おはよう、刈谷さん」
「優くんおはようございます。ちなみにその横のツインテールの子は?」
「幼馴染の由乃、仕事手伝ってくれるって」
学校に着く少し前、由乃が俺たちの日直の仕事を手伝うと急に言い出したので、俺について来てもらった。
「仕事どこまでやった?」
「私もさっき来たとこなので、今さっき黒板清掃始めたとこですね」
「おっけー、じゃあ俺も手伝うよ」
刈谷さんの黒板清掃を手伝うために、カバンを1番前の席においてから、清掃を始める。
「じゃあ、私も」
「別にお前はやんなくてもいいのに」
「いいじゃない、私が手伝ってあげるって言ってるんだから」
「はいはい、ありがいで〜す」
黒板清掃とか制服にに粉が飛んで面倒になるのに、よく手伝おうと思えるな。
「お2人はなにかただならぬ縁とかなんですか?」
「なに、その言い回し。単純に幼馴染で腐れ縁なだけなぁ?」
「そ、そうね私がこんな自堕落、不真面目、助けてくれる人がいないと何も出来ないやつなんかと…」
そんなに、俺の事酷く言わなくたって良くない!?てか、俺そんなに出来ない人間だと思われてんの?
「そうなんですね、じゃあ特にお付き合い等をされてる訳では無いんですね」
「そうだね、実際由乃も俺と付き合うのは嫌だろうし」
「い、いや〜そこまでは…」
さっきの不評を聞くがきり、俺の事は付き合える人の枠にも入ってない気がするし。
「へ〜、ごめんなさいね〜ちょっと黒板消しを洗わないと…おっとっと」
「…刈谷さんそういうのやめてよ、怖いから」
刈谷さんがわざとらしく、つまづいて俺に横から抱きついてくる。しかもそのせいで、地面に黒板消しが落ちて床がチョークの粉で汚れたし。
「怖いだなんて、酷いですね〜ほんとにつまづいただけなのに」
「とりあえず刈谷さん一旦離れて、さっきので床汚れたからほうきではかないと…由乃どうした、そんなに刈谷さん睨んで」
「いや、なんでも」
ほうきを取るために、掃除ロッカーの方を向くと、視界に入った由乃が猫目のような目をして、こっちを睨んでいた。
刈谷さんの汚した床を掃除するために、掃除ロッカーからほうきとちりとりを取りだして床の掃除を始めた。なんで俺がやってるんだろうか。
「やっぱチョークの粉は、掃除が面倒だな。刈谷さん次からは気をつけてよ」
「は〜い」
なんとも反省の色が見られない返事。
「あ!こんな時間そろそろ私自分の教室行くね」
「結構早い気もするけど」
「ちょっと、用事があるの。それじゃ…いて」
バックを取るために、教卓にある謎の段差から降りようとした由乃がつまづいて、今度は由乃が俺にバックハグする形になった。
「あ、ご、ごめん。ちゃんと下見てなかった」
「別にいいけど…あー!粉が…」
由乃のハグの衝撃によって、手に持っていたちりとりから粉を八割落とした。
「またやり直し」
「優ほんとごめん、じ、じゃあ私用事あるから」
そう言って、足早に教室を出ていく由乃。なんか逃げられた気分。
「あらら〜大丈夫ですか?優くん」
「元凶辿ると、刈谷さんだけどね」
憂鬱ながらもこぼした粉をまた集め直して、今度はしっかりゴミ箱に捨てることが出来た。
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