第4話「闇に染まる大地」
虚影獣との戦いを終えたハヤテとカズマは、森を抜け近くの村にたどり着いていた。だが、二人を迎えたのは、異様な静寂だった。
村人たちは家々に閉じこもり、外には人の気配がない。まるで恐怖が村全体を支配しているようだった。
「……ここ、何かがおかしい。」
カズマが辺りを見回しながら呟いた。
「虚影獣が出た後かもしれないな。だが、それにしても静かすぎる。」
ハヤテも警戒を強める。二人は静かに村の中央広場へと足を進めた。
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1. 闇の支配
広場に到着すると、中央の井戸が黒い霧に包まれているのが見えた。その霧からはかすかな呻き声のような音が聞こえ、冷たい風が二人の頬をかすめた。
「この黒い霧……虚影獣のものとは少し違う。」
ハヤテが霧に触れようとしたその時、背後から何者かの声が響いた。
「触れるな! それは呪いだ。」
振り返ると、一人の女性が現れた。彼女は長い黒髪をたなびかせ、神秘的な雰囲気を漂わせている。その手には小さな光の結晶が握られていた。
「誰だ、お前は?」
ハヤテが問いかけると、女性は静かに答えた。
「私はレイナ。この村の巫女だ。虚影獣の残した闇がこの村を蝕んでいる。」
カズマが驚いた顔で続ける。
「じゃあ、この霧は……?」
「虚影獣が敗れた後、その残留物が井戸を通じて村を呪いに染めているの。早く浄化しなければ、村全体が闇に飲み込まれるわ。」
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2. 浄化の方法
レイナは二人に井戸の中を指差しながら説明を始めた。
「この霧の中心には『影の核』が隠されている。それを破壊すれば呪いは解けるはず。でも……」
彼女の言葉が途切れる。
「でも?」
カズマが先を促す。
「その核を守るため、虚影獣の残骸が守護者として目覚めるでしょう。私一人では太刀打ちできない。」
ハヤテは一歩前に出ると、冷静な声で言った。
「なら俺たちがやる。核を破壊すればいいんだな。」
カズマも剣を構えながら微笑んだ。
「二人なら何とかなるさ。」
レイナは不安げな表情を浮かべながらも、二人に祈るような目を向けた。
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3. 井戸の中の闇
ハヤテとカズマが井戸に降りると、そこは薄暗い洞窟に繋がっていた。闇が濃くなるにつれて、空気も重く感じる。
「ここ、普通じゃないな。」
カズマが剣を輝かせながら周囲を警戒する。
「虚影獣の残骸が近い。気を抜くな。」
ハヤテの声に緊張が走る。
洞窟の奥で、巨大な黒い結晶が不気味に輝いているのを見つけた。その周囲に、虚影獣のような影がうごめいている。
「やっぱり出てきたか……!」
突然、影が結晶から分離し、巨大な守護者の姿をとった。それは虚影獣と似ているが、より人型に近く、鋭い武器のような腕を持っていた。
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4. 闇の守護者との戦い
守護者は咆哮を上げ、二人に向かって突進してきた。ハヤテは影をまとい槍を生成し、カズマは光の剣で迎え撃つ。
「ハヤテ、右を任せる!」
カズマが左に回り込み、守護者の攻撃をかわしながら剣を振り下ろした。だが、守護者はカズマの剣を受け流し、そのまま反撃してくる。
「遅い!」
ハヤテが影の槍で守護者の攻撃を防ぎ、カズマを救う。
「助かったよ!」
二人は息を合わせ、攻撃を続けるが、守護者の防御は固く、決定的な一撃を与えられない。
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5. 光と闇の融合
「ハヤテ、このままじゃ倒せない。何か策があるか?」
カズマが焦りながら叫ぶ。
ハヤテは結晶を睨みつけ、考えを巡らせた。
「核を直接破壊するしかない。それには……お前の光が必要だ。」
「またあの共鳴を使うってことだね?」
「そうだ。俺が影を操って道を開く。その隙にお前の光で結晶を破壊しろ。」
二人は視線を交わし、うなずいた。
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6. 勝利と新たな謎
ハヤテが影の槍を操り、守護者の動きを封じる。カズマはその隙を突き、剣を結晶に向かって突き刺した。
「これで終わりだ!」
光の剣が結晶を貫くと同時に、結晶は砕け散り、守護者も霧と共に消え去った。
洞窟には静寂が戻り、二人は安堵の息をついた。
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7. レイナの告白
地上に戻ると、レイナが迎えてくれた。村の呪いは解け、少しずつ人々が外に出始めていた。
「ありがとう。あなたたちのおかげで村は救われたわ。」
カズマは微笑みながら答えた。
「僕たちが来るのが少し遅れてたら、危なかったかもね。」
だがハヤテは険しい表情を崩さない。
「結晶はなんだった? あれは虚影獣の核じゃない。」
レイナは一瞬黙り、やがて重い口調で言った。
「闇の力を操る存在が、この大地を支配しようとしている。それを止められるのは、光と闇の均衡を持つ者だけ……つまり、あなたたちよ。」
二人は言葉を失ったまま、再び訪れるであろう闇の脅威に備える決意を胸に刻んだ。
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