前世で俺が作ったらしい組織に復帰して色々する話
ますぱにーず/ユース
由緒ある(?)前世の組織へ
『
文献には、圧倒的な技術力と軍事力を持ち、世界の3割の人口が参入しているとされる組織。
…って、文献には書いている。
…いや、流石に
宗教組織って訳でもなさそうだし…。
「イルミナティって怖ぇ~…」
俺———フェーン・リゲルスは図書館でたまたま見つけたイルミナティの本を見ながらそんな事を思った。
でも、何故だか分からないが他人事ではないような気がしないでもない。
「フェーン、お前は勉強家だな」
「あ、父さん。…まあ、俺は剣を振ったりするよりもこうやって、机に向かってる方が性に合ってるって事なんだろうな」
「どうだかな。フェーンは剣の腕も高い。騎士団を目指したら、団長に慣れるかもしれないぞ?」
「いいよ別に…それに将来を考えるのはまだ早いだろ?俺はまだ魔法学校の中等部だっての」
「そうか?」
「父さんは相変わらず心配性だな」
「そりゃ、子育てなんて人生でこれが初めてだからな…分からない事なんてごまんとある」
「…そう。まあでも、そうだな…考えてみるよ」
「そうか?フェーンが騎士団に入ってくれたら、きっとこの先も安泰だと俺は思ってるぞ。そういえばフェーン、さっきまで何の本を読んでたんだ?」
「イルミナティの本。さっきたまたま見つけて気になったから読んでただけだよ」
「へぇ…イルミナティか。ちょっと見てもいいか?」
そう聞いて俺の後ろから本をのぞき見しようとする父さんに本を押し付ける。
「いいけど…あんまり乱雑に扱うなよ?本を破いたら承知しないからな」
「分かってるよ」
…心配だ。父さんは正直、あんまり子供の頃から勉強などしてこなかったらしい。まあ、勉強するより剣を振れな家系だったらしいから仕方のない事ではあるんだろうが。
斯く言う父さんは、この国の治安を守る騎士団の団長をしている。だから普通に強いのだ。
「ふむ…父さんには良く分からんな」
「だろうと思った」
俺だってわからんのら父さんになんて分かりっこないのだ。まあ、剣術においては例外だけど。
「まあでも、あまり遅くまで勉強しすぎるなよ。母さん、この前すごく心配していたんだぞ」
「あぁ…まあ、それは悪かったと思ってるよ…」
「本当だぞ、ユーリアも心配してたんだからな」
「姉さんはただブラコンなだけだろ…それに、騎士団の団長になるなら俺より姉さんの方が良いに決まってる」
姉さんは俺より剣の腕が立つ、それに俺よりも賢い。それに加えて贔屓目無しに美人。
極度のブラコンであることがあまりに痛手すぎる弱点ではあるが。
「まあ、ともかく勉強していて偉いぞ、フェーン」
「ちょ…やめろ父さん」
頭を撫でてくる父さんの手の力がそれなりに強く、10分以上格闘しても離してくれなかった。
■
なんてことのない日々を終え、俺は外に浮かんだ満月をぼんやりと眺めていた。
何故だか今日は眠ることができない。…世界の命運が~とか、きっとそんなものではない。ただほんの少し、何かが起こりそうな気がしているから。
…そして、その予感はすぐに的中することになる。
突然窓が開き、女性が一人、入ってきた。
顔も名前も知らない、それなのにどこか懐かしさを覚える。…謎の女性。白銀の髪が月明かりを反射し、真っ赤な双眸がこちらを見つめる。
「…マスター…やっと、見つけました」
その女性は俺を見て、そう呟いた。
「ま、す、たぁー!」
その直後、その女性のすぐ横から黒い影が俺の方に飛び出してきた。
咄嗟にその影を受け止めると、俺の背中に手を回してがっちりとホールドしてくる。
水色と濃い青のメッシュがかかった、少女の背丈くらいまで伸びた髪、碧とピンク色のつぶらな瞳がこちらを見つめる。
「マスター捕まえた!」
「…はぁ…こらニシェル、マスターが困っていますよ」
「そんなことないもん!ねっ、マスター!」
「え、あ…う、うん…?」
「ほら!」
「…どう見ても困っているじゃないですか…」
その後、女性がどうにかしてニシェルという少女を説得(しながら強引に引き剥が)していた。
「うぅ…ごめんなさいマスター…」
涙目になりながら、ニシェルという少女は俺に謝ってくる。
なんだろうな…その体躯で涙目になりながら謝罪されると罪悪感が物凄いんだが…。
「…それで…えっと…とりあえず一番聞きたい事聞くぞ?」
「…はい」
「…誰、君ら」
「…私たちはイルミナティ。1200年前、前世のあなたに永久の忠誠と愛を誓った者です。私はマスター代理のシルヴィスティア、こちらはニシェルです」
「マスター、私たちの事忘れたの…?」
「うっ…」
ごめんて…。
「…まあ、仕方のない事ですね。マスターが転生魔術を行使したとして、その後の記憶の保証なんてございませんから」
「…んー…」
「…ニシェル?」
「…マスター」
「…な、何?」
「…ううん、なんでもない。拠点に帰ろ。皆マスターの帰りを待ってるよ」
「あ、おう…?」
なんというか…とても強引に流されているような気がするが…まあ、だけど。
何というか、信用できる。それは…前世の俺が多分まだ、俺の中に残ってるんだろうな。
「では、マスター。こちらに」
シルヴィスティアに案内されるがまま、俺は窓際に立つ。
「ノイア、【
シルヴィスティアがどこかにそう告げると、俺の目の前に黒い穴のような物が出現する。
「さぁ、帰りましょうマスター」
「―――待て!」
シルヴィスティアがこちらに手を差し伸べようとした時、後ろから姉さんの声がした。
――――――――
作者's つぶやき:はい、また作品を増やすんかって話ですよ。いい加減完結させなければならないというのに…新作のネタばかり浮かんでくるんですもの…。
投稿休んで申し訳ないです。ほんっとうにネタが無かった…。
あとフェーンくんは響谷くんです。…まあ、なんだか結構スムーズに進んだのは前世のフェーンくんが色々してくれたおかげなのでしょうか。
ちなみにDoFだのなんだの言っているのは英語訳したものの頭文字です。
さて…次回からどうしよっかなぁ…。がんばります………。
――――――――
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