世界史オタクの異世界転移〜元の世界の歴史知識を活かして世界平和を目指します〜
@kura37
第1話 異世界との邂逅
助け、、て、、誰か、、、。誰か助けて!
この世界はもう、、、。
「っはぁ!」
なんだ今のは、女の声か?どうやら誰かが助けを乞うていたようだ。とんだ悪夢だ。おかげで寝覚が悪い。
もしかしたら何かの暗示かもしれない。かの太平天国の乱で知られる洪秀全は科挙に何度も落ちたショックで寝込み、その時に神から啓示を受けて結果、太平天国を創始した。このエピソードの真偽は不明だが自分が見た夢が何かしらの暗示であることも時にはあるだろう。
そんな風にいつも通り世界史オタクらしい思考をした俺こと海神一(わだつみはじめ)はベッドから出て洗顔に向かう。
現在高校2年生の俺は生粋の世界史オタクだ。きっかけは幼少期に世界の偉人伝を読み漁っていたことだったと思う。世界史に登場する偉人たちは魅力的でカッコいい。俺は彼らの生き様に心打たれた。自分の哲学を曲げず最後には自ら毒を煽ったソクラテス。十字軍のキリスト教徒たちを丁重に扱ったサラディン。猜疑心の塊で建国の功臣すらも処刑したが家族の絆だけは最後まで信じた朱元璋。ドレフュスの有罪判決から欧州の反ユダヤ感情の強さを感じてシオニズム運動を創始したヘルツル。ビルマ独立のために反英から反日の英雄となったアウンサン。世界史の偉人は数え上げればキリがない。
だがしかし、なんとも辛く悲しいことに世界史を勉強すればするほど現代世界がいかに残酷な歴史の果てにあるのか、そしてこの21世紀がいかに平和からかけ離れたものであるかも理解できた。この世界をどうにかして平和にしたい。だが決してこの世から戦争は無くならないだろう。History repeats itself. 歴史は繰り返すのだ。
とはいっても今の日本は基本的に平和だ。もう大日本帝国ではない。マッカーサーには感謝しなければならないな。
そんなことを考えながら洗顔を終えた俺は外に出て日を浴びる。
「あ〜気持ちい、、、いな?」
何だ?何か違和感を感じる。いつもの風景、だが何かが違う。これは、、そしてここは、、
「異世界?」
どうしてそう思ったかは分からない。強いて理由を挙げるならそう思わなくてはならないという義務感が生じたからだ。俺はすぐさまPCを開き検索した。
「世界史通史、検索っと」
そこに出てきた世界史の通史。そこに書いてある内容は俺のよく知っているものだった。ただ1点を除いては。
「あれ、「ローマの大火」についての記述がないぞ?」
前にこのサイトを開いた時には確実にあった。そこからネロ帝に興味を持ち小アグリッピナとの陰惨な関係に身慄いした記憶もある。一体何が起こっている?
「ローマの大火」についてその後も調べてみたが出てくるのはせいぜい1666年のロンドン大火くらい。身体中から冷や汗が流れてくる。だがしかし「ローマの大火」の記述がないことを除けばこの世界は元の俺がいた世界と同じ歴史を辿っているようだ。
これはまずい。「ローマの大火」が世界史に与えた影響は凄まじい。この事件1つないだけでもローマ帝国、キリスト教、ひいては世界全体の歴史が大きく変わってしまうかもしれない。どうにかして歴史の修繕がなされなければ、、、そう考えた俺は冗談じみた口調で後に大いに後悔すると発言をこぼす。
「タイムリープが使えればいいんだがな。」その時。
「その願い、叶えてあげましょう。」
「えっ、、」
何だ今の声?女の声だったが、、、
「って、うわ!」
目の前で閃光が走った。まさに刹那。閃光が収まると目の前に広がった光景は、、、
「フォロ・ロマーノ?」
間違いない、フォロ・ロマーノだ。背後を向くとそこにはコロッセウム。まさか俺は、、、
「転移だけじゃなく、時空跳躍もあるだと!?」
ツッコミどころが満載だ。まさかこの世界には元の世界と違って魔法もあるのか?周りから聞こえるのはよく分からない言語ばかり。これはイタリア語か?いやおそらくはラテン語だろう。なにしろ周りにいる人たちは皆古代ローマ人みたいな顔をしているからだ。あれだ。阿部寛主演の某ドラマに登場する人々の格好だ。
「quid est vestimenta sua?」
「nescio. quod est impar.」
彫の深い男性と綺麗な女性が俺を見て何か言っている。くそ、意味がわからん。わかることはただ一つ。俺はフォロ・ロマーノが荒廃する前の時代、すなわちローマ帝国全盛期にタイムワープしたということだ。
「はぁ〜、ったく、これからどうすれば、、、」
いや、何をすればいいかはわかっている。ここが異世界だと思った時の感覚と同じだ。おおよそ元の世界と同じ歴史を歩んでいたこの世界。そこに転移してきた世界史マニアの俺。タリムリープの魔法。
「世界を救えってことだろ。」
タイムリープの前に女声がした。もしかしたら女神か何かかもしれない。異世界転生ものにありがちな設定だ。あれ、そういえば前世でも知らない女性の声を聞いたような、、、
まあ、よく思い出せないからどうでもいいか。
何はともあれ俺の使命はただ一つ、この世界を元の世界とは違う平和な世界にすることだ。その覚悟が俺にあるかと問われればNOだ。だが昔から考えていたんだ。自分が世界平和を実現できないかと。多くの先人が抱いた夢でありながらまだ成し得ていない壮大な夢を自分がなす妄想を抱いていたのだ。
「なら仕方ないか。」
こうして俺の異世界ライフが始まった。
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