BAD BIG BAD BAND

エリー.ファー

BAD BIG BAD BAND

 私は、ここで地球を見つめている。

 星と星の間にある世界が、少しずつと送っていく。

 暗闇の中にいる自分を意識しながら目を瞑り、今を考える。

 楓の樹の香りが最高だ。

 余りにも長く記憶の中にしまいこんでいたから、自分の姿さえ見失いそうになる。

 風の中にいる、私。

 私と一緒にいるような世界。

 君と私で作り出すことができたかもしれない奇蹟。

 それが、地球になった。

 私が抱えていた死が、生が、魂が、少しずつ形になって地球になっていく。

 もしも、私が、私を知らないまま大きくなったら、そこには伝説らしきものが必要になるだろう。

 力を抜いて、音に身を任せて、ジャズをしよう。いや、ワルツもでいい。ただのストリートダンスでもいい。あぁ、ただの、という言葉は余計かもしれない。

 このまま、私はここで地球を見つめ続けるだけの一生。

 それもいいかも。

 いや、それがいいかも。

 だって、私には何もないから。

 ただ、地球というものを知っていて、地球の外にいることしかアイデンティティがないから。

 寂しさの中に私を置く。

 このままずっと。

 ずっと、自分を作り出した星たちのきらめきを探しながら、自分の存在意義を暗闇に問う。

 そのうち、地球は陽気に回り出す。

 きっと、悪党たちが目に染みるのだ。

 そうして、ギャングが暴れ出す。

 銀行は笑い出し、金を放出しながら、ブギウギ。

 もしも、私の中に答えがあったら。

 これが正解だと叫ぶだろう。

 お願いだ。

 もう、このカオスの中にいさせてくれ。

 この中でしか、上手に呼吸ができないんだ。

 自分を見失ってから始まる音楽があって、そこには、私と私以外は存在しないんだ。

 もしも。

 もしも、自分というものの時間を自分の思うデザインで産むことができたら。

 最高じゃないか。

 あぁ、デザインを産むべきか。

 いや、どうでもいいじゃないか。

 光の中にいる自分を意識したいのさ。

 黒く滲んだ夜明けの中に、私の影が見えたのさ。

 もしも。

 もしもし。

 私は上手くやれていますか。 

 もしかして、私が気付いていないだけで、私は躓いているのではありませんか。

 そうしたら、誰か教えて下さい。

 そして、救って下さい。

 私は迷惑そうに、その手を掴んで立ち上がります。

 そして。

 小さな声で、ありがとう、と言う予定です。

 あなたには聞き取れないかもしれません。

 でも、いいですよね。

 それが、私とあなたの関係であるべきでしょう。

 さて。

 あなたって、誰のことなんでしょうね。

 私には、もう何もかも分かりません。

 地球を見守る神様であったはずなのに、気が付いたら地球のど真ん中で踊る、誰かになっているのですから。

 またもステップ。

 高速ステップ。

 自分本位のステップ。

 オフビート、ステップ。

 もっと、欲しい。

 音が欲しい。

 歪んでいてもいい。

 でも、楽し気で。

 どこか、寂しくて。

 誰にでも寄り添うことができて。

 誰もが、自分しか理解できないと思って。

 一緒に走ってくれるような。

 最高の音色。

 あぁ。私は生きている。

 またも、東京タワーを見つめて笑う私。

 そう、もうすぐ終わる。

 新しい何かが始まる。

 私の物語は終わらない。

 傍観者であり続けるけれど、それでも終わらない。

 高速でありたい。

 とにかく早く。

 とにかく速く。

 さぁ、参りましょうか。

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