プールで最期を
海星
第1話 退屈と過去
俺の人生は退屈に満ちていた。
親も兄も、みんな昔にいなくなった。
学校に行ってもただみんなと意見やハマっているものを合わせて会話するだけで全く楽しくない。
食欲も、睡眠欲も、性欲もない。
何もやる気が起きない。
もともとないわけじゃない。
全部、家族が死んでからのことだ。
家族が死んだのは、俺が六歳のときだ。
「パパ…?ママ…?お兄ちゃん…?」
テーマパークへ行く途中、車で事故を起こして死んでしまった。
家族全員で車に乗っていたのに、自分だけが生き残った。
目の前には鮮やかな色をした血液と、ピクリとも動かない家族の姿。
そのときは何も考えられなかった。
悲しいとか、痛いとか、全部分からなかった。
泣けなかった。
それから「欲」がなくなった。
プールで最期を 海星 @tsumugitsumugi0720
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