第21話
何訳わかんないこと言ってんの、コイツは。
あんたが恋愛対象じゃないことは言わなくたってわかってるよ。
今話してるのは「モラル」の話。
モラルってか常識…?
箸の件といい、どっかズレてるところがあるんだよね…
っていうか、世界共通でしょ!?
一緒の風呂に入らないなんて言うのは。
「あんた男でしょ?!恋愛とか経験したことはないの??」
「生憎、そう言うものには無縁だ。任務の妨げになるからな」
「おかしいとは思わないの?「お風呂」って言う意味わかってるよね?!」
「逆に何をそんなに戸惑っているのだ。お風呂の意味くらいわかる。バスルームのことだろう?」
「わかってんじゃん…。じゃあ尚更“おかしい”って思いなさいよ!」
「どの部分をだ?」
「諸々よ!絶対付いてこないでよ!」
恋愛経験皆無。
コイツの言動を見てたらそりゃそうかって感じだが、それ以前に「人」としてどうなのって話。
何平気ヅラして“俺はおかしくない”みたいな顔してんのよ。
これ見える?
「男湯」と「女湯」。
ご丁寧に色分けまでされてるじゃない。
分けられてるってことは、女湯に男は侵入禁止!
いくらあんたが“付き人”だからって、ついて来ていいところとダメなところくらいあるっつーの!!
「どこに行くのだ?」
「あーもう、だから付いてこないでって!」
せっかく露天風呂で今日の疲れをぶっ飛ばそうと思ってんのに、なんでコイツの気配を背後に感じなきゃなんないの?
シャワールームがあるからそこに行けよ!
この変態偏食バカ!
「人の悪口を言うのは良くないと教わらなかったか?」
「ええ。教わってますよ。勝手に人の風呂を覗くなってことも!」
「なぜそんなに効率の悪いことをしたがる?」
「あ゛あ゛?」
「同じ時間に同じ風呂に入る。孤児院で暮らしていた時は、それが普通だった。兵士だった時代でもだ。人が無防備になる瞬間を知っているか?」
「知らない!」
「食事、睡眠、そして風呂だ。衛生上仕方なく入ることがあったが、基本的に風呂に入る時間などは作らない。ナイフならまだしも、銃火器を持ち込むことはできなくなるし、ほとんど無防備の状態になるためだ」
そんな自慢げに話されても…
ってかナイフ持ち込もうとすんな!
あんたのせいで温泉が閉鎖にでもなったら、誰が責任取ってくれんのよ!
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