第2話
ガラッ
担任のヨシキがやって来た。
相変わらず目つきが悪い。
数学の教師って、どこか堅苦しいよね。
立ち振る舞いにユーモアがなくて、チャーミングポイントがあんまりない。
インテリ系最前線のつまんないヤツ。
そこまで言うと、流石に可哀想かな?
ただもうちょっと捻って欲しいっていうか、柔軟に生きて欲しいっていうか。
「よーし、みんな揃ってるかー。今から転校生の紹介をするから、席に着いてくれ」
ヨシキの号令の後、みんな席についた。
ざわつく教室。
転校生の紹介なんて、今まで経験したことはなかった
ヨシキに手招きされ、開いたドアの向こうから男子生徒が歩いてくる。
自慢じゃないが、私は人を見る目があると思っている。
顔が良くても、大抵中身はガキっぽくて、それが目の動きや仕草に出たりする。
顔はもちろん大事。
だけどそれはパーツの話じゃなくて、その人の作る表情や、雰囲気の話。
教室に入って来たその“人”は、同じ高校生とは思えないほどの存在感を放っていた。
入ってくるとともに、ワッと歓声が上がった。
それくらい、“イケメン”だった。
「…ちょっと、アズサ。どうよあれ」
凛が興奮したように囁いてくる。
どうもこうも、見りゃわかんでしょ。
あんた好みの正統派イケメンだよ。
「ジーニーズ系男子ってやつ?」
「めちゃくちゃイケメンじゃん」
「凛。目がキラキラしてるよ」
「だって見てよ。身長もめちゃくちゃ高いしさ」
「確かにね」
「ね、ちょっと狙っていいかな、アレ」
「はあ?まだどんなやつかもわかってないのに??」
「どんなやつかなんてどうでも良くない?あんなイケメンだったら性格なんてどうでもいいよ」
おいおいおい
そうやって前の彼氏失敗してなかった?
顔で選ぶにしても、あんたは男見る目がなさすぎなのよ。
一回様子見た方がいいと思うけど…
「こちら堂島龍生君だ。アメリカのオハイオ州から先週帰国してきた。家族の都合でしばらく日本に滞在するそうだ。みんな仲良くな」
ガチでアメリカから帰って来てんの…?
家族の都合…って何?
仕事の関係?
ヨシキに促され、彼は黒板の前に立った。
センターで分けた前髪に、ナチュラルで爽やかな顔つき。
クラスの誰よりも身長が高かった。
透き通った瞳は優しい目尻を伴っていて、どこか柔らかい。
…だけど、なぜか冷たい印象を受けた。
全体的にくすみがなくて、見れば見るほど“清潔系男子のど真ん中“って感じなのに、どこか殺伐としてて。
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