零細迷宮配信者の私が配信の最中にS級探索者の少女を助けたら、どうやら脳を焼いてしまったようです(ついでにパズった)
アイズカノン
第1話 どうやら私はパーティのみんなに置いていたれたようです
私――【
>楓ちゃん逃げて……
>えーでちゃんとにかく物陰に……
いつもなら笑顔で答えてる
(どうしてこんなことに……?)
きっかけは本当に些細なことだった。
それは深淵の階層の攻略配信のこと。
☆@☆@☆
迷宮事変の前も迷宮と言われてた新宿駅。
その周辺に本物の地下迷宮――ダンジョンが誕生した。
その深淵と言われる終わりなき最下層。
その攻略が今の
そんな話題性のある攻略を、当時イケイケだった私たちのパーティ【鳳凰の翼】は余裕ぶっこいて特に事前準備もなく挑んだのであった……。
ただ幸運だったのはボス部屋の扉が閉まるのには猶予があったこと。
鎌のような鉤爪と背中の突起から触手を放つ巨大な怪獣のようなボス。
それが第一形態から第二形態に移行するまでの一時。
部屋への出入口の洞窟が崩れるその最中。
崩れた瓦礫によって扉が開く。
「形態が変わった」
「凄い揺れ」
「コメント通りだな」
既に第一形態での戦いで疲弊してた私たちはこれ以上は無理だと撤退しようとしていた。
「それじゃあ、私がボスを〔麻痺〕で足止めするからその間に――」
「その必要はない」
「えっ……?」
金属の筒状の物体が私と目の前のボスの間に宙を舞いながら侵入すると閃光をもたらした。
……。
…………。
………………。
………………。
…………。
……。
「う……ぐぅ……っ!?」
身体の痺れが切れると同時に私は急いで後方に飛んで体制を立て直した。
間一髪、ボスから放たれた触手の鞭の一撃が私に直撃しようとしていた。
(〔麻痺〕攻撃……?。一体なんで…………、まさか!?)
私は急いで後方の扉のあった場所を見る。
そのには衝撃で、ひしゃげ、潰れた金属の大きな扉と瓦礫の山が積み重なっていた。
「くっ!」
私は急いで物陰に隠れて何とかボスの視界から逃れた。
そこで急いで配信用のドローンを展開し、スマホの[配信]のボタンを押した。
>お?
>パーティの配信にいないから心配したよー
配信開始と同時に雪崩のように流れ込んでくるミツバチさんたちのコメント。
これを見ると安心する。
でも……。
「ごめん。みんな。どうやら置いていかれたみたい」
できる限り暗くならないように、明るく、ドローンのカメラに向かって笑顔でいた。
それでも私の恐怖や不安が伝わったのか、未だにコメントはさらに加速していた。
「みんな。私の最後の戦い。見ててよね」
私はボスの視界に入るように、ヘイトがこっち向かうように大声で言った。
自分にも言い聞かせるように。
あれからどのくらい経ったのだろうか……。
(はぁ……、はぁ……。相変わらず削れてるかどうか分からないわね……)
未だに私を心配して書き込んでくるコメントが濁流のように流れ込んでくる。
それもそのはず、いくら安全な
だからできるだけ生存して帰ることが必須条件になっていった。
「でも……、これは無理そうね」
せめて……、痛みは少ない方が良いね……。って思いながら私は最後の時を待っていた。
ドゴッ!。
(ん?)
バコッ!。
(んんっ??)
ドッカーン!!!!。
私にボスが最後の一撃をお見舞いしようとした直後、突然に私とボスの間におそらく天井からだと思われる岩石の雨が降り注いだ。
>えっ!?
>なになに??
>かえでちゃん無事!?
「一応無事だけど……」
舞い落ちる土煙とともに一人の少女が着地点の地面を、まるで特撮に出てくるヒーローの登場のように土煙と瓦礫を巻き上げて降ってきた。
「大丈夫?」
「えっ!?。あっ、はい」
「そう。なら良かった」
そういう少女に向かって、ボスの鉤爪が勢いよく切りつけてきた。
「危ない!!」
ガンッ!。
「へ?」
〈ギギギ……〉
ボスの一撃はなんとあっさり少女の右腕によって防がれてしまったのであった。
そんな条件を呆然と見つめる私をよそに少女は受けた鉤爪を素手で持って、勢いよく部屋の壁に叩きつけた。
待って素手で!?。
「ふぅ……。なんだびっくりした〜。ボスっていうからえらく強いかと思ってたのに……」
投げ飛ばれたボスの爆風で土煙が一気に晴れた。
私は再び少女を見る。
黒髪のショートヘアに青い瞳。
オフショルダーのミニスカートのワンピースドレスにコルセットベストを合わせたようなファンタジー系の衣装。
髪飾りの左側に付けてるリボンが風で勢いよく揺れている。
「あなたは?」
それが、今後の私と一緒に迷宮攻略配信していくパートナー。
【
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