【カクヨム10参加作品】勇者に追放された俺は、他のパーティに入る事にしました ~今蘇る伝説の英雄パーティ~ 但し30歳越えのビキニアーマーを着こんだエロいヒロインがわけありで戦えません!

石のやっさん

第1話 フドラ追放される

パーティリーダーであり勇者のジョブを持つドルマンが告げる。


「悪いが今日でクビだ」


「そうか……」


ドルマンとは幼なじみだ。


俺なり仲良くしてきたつもりだった……


 剣聖のエルザ


 聖女のセシリア


 賢者のイザベル


ドルマンと俺、五人揃ってSランクパーティー『ブラックウイング』そう呼ばれている。


やや中二病な名前だがまぁドルマンは勇者だし、剣聖や、聖女、賢者まで居るからおかしくはないな。


幼馴染と親友と一緒に組んだパーティ。


気心知れていて良い。そう思っていた。


俺は、ジョブの差で成長した4人に能力が追いついていないのは事実だ。


だからこそ、他の事で貢献できればそう思い、雑用を頑張っていた。


誰よりも早く起き、誰よりも遅くまで仕事をし、寝る生活。


仲間の為、そう思ったら苦じゃなかった。


それでもクビなのか……そうか。


俺だってAランク冒険者だ。


此処を出れば、幾らでも次があるからしがみつく必要は無い。


こいつ等が凄いだけで他のパーティなら充分通用するし、Bランクまで落とせば恐らく引く手あまただ。


その位の価値はあるのは理解している。


だけど、『それでも俺はここに居たい』そう思っていた。


長い時間を過ごした村の仲間だからな。


ドルマン……これで本当に終わりで良いんだよな?



「ついて来られないのは分かっているだろフドラ」


「そうだな、確かに戦士の俺じゃ皆に戦闘でついて行くのは、難しいな」


俺にはドルマンや皆みたいな優れたジョブは無い


だから、家事に炊事に洗濯、書類仕事で貢献していた筈だ。


それじゃ駄目そういう事なんだな。


それじゃ……仕方ない。


「勇者とし大きく飛躍するには大きな手柄が必要なんだ。残念ながらお前とじゃ無理なんだ。なぁ分かってくれよ、パーティを抜けてもお前が親友なのは変わりないからな。」


仲間以上を俺は望まない、それでも俺は良かったんだけどな。


それでも駄目なわけか?


俺は元恋人であるイザベルの目を見た、彼女ももう昔の優しい目をして居ないしドルマンの女になっているのも知っている。


別に問題は無い。


「私もドルマンの意見に賛成だわ!貴方はもうこのパーティについていけないじゃない。きっと近いうちに死ぬか大怪我をするわ……さっさと辞めた方が良いわ。これは貴方の事を思って言っているのよ」


『ドルマンの事が貴方より好きなの……だから元の友達に戻りましょう』


それで良い話だ。


好きと言う感情はあるが、そこ迄拘りはない。


勇者パーティとして過ごすなら、長い年月一緒に旅から旅だ。


だから、仲間から伴侶を探すしか選択が無いだけだ。


薬指には見覚えのない指輪があった、多分ドルマンが買ってくれたんだろう。


俺よりドルマンの方が好き。


それなら、それで問題は無い。


他の2人も同じ指輪をはめていた。


ハーレムパーティーだから、俺は要らない。


そういう事だろう?


だが、雑用どうするんだ?


恋愛と仕事は別と割り切り、俺が仕事に専念すれば良いだけだ。


それで、充分じゃないか?


生まれた時から村で育ち今迄一緒だったんだ。


情はあるか無いかと言えばある。


だが、此処まで拒絶するなら、袂を分かつしかない。


「イザベル、解ったよ! もう良い……俺なんてもう要らないんだよな」


「そんなわけじゃないの、私は貴方が……」


「綺麗ごとは要らない。 たった今から赤の他人。それでいこうじゃないか? それで良いんじゃないか?」


「……」


これで良い。


村の仲間……ははは、そう思っていたのは俺だけ。


元から赤の他人……そう思えば腹も立たない。


「イザベルがドルマンと愛し合っているのは知っているよ……それでも俺は幼馴染で友達だと思っていたんだ。だが、違った。それだけのことだ」


「知っていたのね?」


逢瀬を直に見たからな……


「ごめんなさい!」


「別に謝る必要も無い」


もうどうでも良くなった……謝罪も要らない。


俺はイザベルしか選択肢が無かった。


それだけだ……


「大人しく村に帰って田舎で冒険者にでもなるか、別の弱いパーティでも探すんだな」


「ドルマン、わかった……そうするよ!」


イザベルは確かにおれの恋人だったが、それもお前のパーティにいるから選んだだけだ。


俺の好みは年上の大人の女性だ。


残念ながらこのパーティに好みのタイプはいない。


勇者パーティに居るなら長い旅になる。


だから、メンバー以外に恋人や結婚相手の選択肢が無い。エルザとセシリアをお前が好きだと言っていたから残ったイザベルを選んだだけ。


可哀そうじゃん? 1人だけ放っておいたら、案外辛いぞ。


全員欲しかったのなら最初から言えば良かったし、しっかりイザベルの相手もしてやれば良かっただけだ。


そうすれば、まぁ旅の間は街の娼館でも俺は利用すれば良い。


俺は俺なりに友だったお前が過ごしやすいように配慮したつもりだった。


幼馴染パーティが上手く回るように俺なりに考えていた。


それだけだったんだ。


「さようなら、フドラ」


「さようなら」


「貴方より!ドルマンの方がごめんね」


 4人の幼なじみが一斉にお別れの言葉を言ってくる。


少し、堪えるがそれだけだ。


「いいよ! これからは赤の他人……そう言う事で行こうぜ」


笑顔でここを去りたかったが、少しだけ涙がこぼれ落ちてきた。


長い年月……一緒に過ごした仲間ではある。


ただ、それだけ、それだけの涙だ。


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