第6話

幼かった私は彼を自然と『かず君』と呼ぶようになり、彼も当たり前のように『茜ちゃん』と呼び微笑んでくれた。




今思えば、規律の厳しい極道として異例だと思うけど。


私が彼にだけ心を開いている姿に、父も喜んで容認していた。




周りとしても『慣れない子供の世話から解放された』と、私達の事に口を出す者は居なかったみたい。



それに

『見た目が怖いからって避けてしまったら、可哀想だよ』




物語の中の除け者オオカミの話を聞かせながら、見た目で決め付けちゃダメだと教えてくれたから。




彼が来てから、私は少しずつ周りにも慣れ、会話もできるようになっていった。




だから、


そんな彼に文句を言う人なんて、いるはずない。

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