ダイエットで変わった話

製本業者

つま先から足を籠めて

この前日本の一時帰国で戻ったときに驚くことがあった。なんと、私の靴のサイズが1センチも小さくなっていたのだ。いや、これにはさすがに面食らった。まさか足が「縮む」なんて話があるのか?


もちろん、靴の形状による影響も考えられる。だが、今回の件にはそれだけでは説明がつかないような気がしている。ちなみに、私のつま先の形は、よく聞く「ギリシア型」や「エジプト型」とは少し異なる。


まずギリシア型だが、これは第二趾(いわゆる人差し指)が一番長く、つま先が三角形のように尖った形状だ。このタイプの人にとっては、先の尖った靴以外が意外に履きにくいらしい。次にエジプト型。これは第一趾(親指)が一番長く、そこから斜めに小さくなっていく形状。エジプト型は、ギリシア型とは逆に先の尖った靴が苦手らしい。さらに「スクエア型」という、つま先の長さがほぼ揃っているタイプもある。このスクエア型を調べてみると、実は「ローマ型」と呼ばれることがあるようだ。幅広の靴を好む傾向があるとか。


ちなみに私の足は、このローマ型に分類されるらしい。具体的には、第一趾が一番長いとは言え、第二趾と第三趾はほぼ同じ長さで、かなり緩い傾斜を描いている。そして第四趾以降で急激に短くなるという、ちょっと独特な形状だ。ただし、完全な一直線のスクエア型ではなく、もし完全一直線なら「ドイツ型」というらしい。この辺り、細かすぎて調べているうちに軽く迷宮入りしそうだ。


ちなみに日本人に最も多いのはエジプト型。次いでギリシア型で、ローマ型は少数派だという。少数派という響きには少し特別感もあるが、履く靴の幅が限られてくるのは困りものだ。


ところで、今回驚いたのは「先の尖った靴」だとサイズがこれまで通りなのに、普通の靴だと1センチも小さくなっていること。以前から尖った靴ではサイズがやや大きめになりがちだったが、それでも0.5センチ程度の差だった。それが今回はさらに小さな靴が履けるようになっているのだ。


理由を考えてみた。おそらく、これはダイエットの成果だ。実は私、10キロ以上の減量に成功している。リバウンドも若干あるが、それでも足裏や足の甲が細くなっている可能性がある。体重が減れば面圧が軽減し、必要な足の表面積が縮むのは理にかなっている。


とはいえ、つま先形状の影響は依然として大きいようだ。細い靴や尖った靴だと、サイズはほぼ以前のまま。どうやらローマ型の私の足と靴の関係は、まだまだ複雑な事情が絡んでいるらしい。


さて、ここまで話しておいて、何が言いたいかというと……やっぱり「下駄」こそ最強!そう、つま先の形に囚われることなく、幅広い自由を許容してくれる下駄のありがたさよ。どんな足型にも優しくフィットし、音までも愉しませてくれる日本の誇りだ。次に靴屋に行くときは、潔く下駄を買い求めるべきだろうか――などと妄想しつつ、今日もローマ型の足を眺めている私である。

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