Bullet Bitches
@kamulo
エイとアイ
エイはアイ、アイはエイ。
2人はずっと一緒。
今までも、これからも。
◇◇◇
「バン」
……
「バンバン」
アイ。
「バンバーン」
ねぇ、アイ。
「バンバカバンバカバカバカバーン」
アイったら。
「何? エイ」
もう
「え〜 でもアイツらまだやる気だし、ちょっとくらいいいでしょ? ね、
えぇ?
「いいから、口開けて」
ちょっ、うぐっ、ごぇぇぇ……
「コレコレ。ほらみんな、穴あきスコーンにしちゃうよ〜」
もう。
エイは銃を吐ける。
口から、うぇって。
ピストルからロケットランチャーまで何でも。
大きいのは口に引っかかるから、ほっぺとアゴは裂いちゃった。
普段は金具とマスクで口を押さえてる。
弾切れになったら吐く、げぼげぼ吐く。
吐きすぎたら疲れるけど、それくらい。
アイはエイが吐くと喜んでくれる。
アイは楽しそうに、上手に撃つ。
弾が生き物みたいに飛んでいくんだ。
『エイの銃がすごいんだよ。弾がどこまでも届くし、何でも貫くんだもの』
そうらしい。
エイは吐いてるだけなんだけどな。
エイとアイは
撃てばお金がもらえるからちょうどよかった。
毎日知らないおじさんおばさんを撃ってる。
何にも思わない。
「え、命乞いとか今さらなんだけど」
どうしようもないの、分からないの?
「分かってよ、オワオワリってことくらい。はい、バーン」
アイ、その子も撃つの?
「エイを撃ったんだよ? 当たらなかったからいいけど、立派な敵じゃん」
うん……
「イヤなの?」
別に。
「かわいそう、生かしてあげたいって?」
そんなこと言ってない。
「じゃあ、はい」
え。
「撃ってよ」
アイがやらないの?
「エイが撃って、見たい」
いいけど……
「お願いね」
はぁ、こんなの…… 何だっていうの。
「バーン」
ほら、さぁ。
「ちゃんと頭撃てたね、えらいえらい」
できないワケないでしょ。エイはアイなんだから。
「アイもエイ、1番大事だもんね」
それしかないもの。
「うん、じゃあ帰ろっか」
お風呂入ってご飯だよ。
「今日のご飯何?」
ナイショ。
「ピーマン無しね?」
ナイショ。
「エイ、この記事見た? 『バレットビッチーズまたまた現る』だって、ムカつくネーミングセンス」
いいじゃん何でも。
「よくない、ガンマニアのおばさん売春婦みたいじゃんか」
そう?
「本物はもっとキュートでプリティなのにさぁ」
じゃあ何て呼ばれたい?
「『キュアキュア☆スターズ』とかどう? カワイクない?」
ご飯できたから…… 食べよう。
「うぇ〜 野菜ばっかし」
大きくなれないよ。
「大きくなったって銃には勝てないじゃん」
いいから、いただきます。
「あ、エイのピーマン入ってない! ズル!」
エイが作ったからいいの。
「ふん、ふん! ふんふんふん!」
うわっ、ピーマン投げないで。
明日もお仕事だから、お休み。
「ねぇ、アレ吐いて」
オキニのやつ?
「うん、無いと眠れない」
げぇぇぇ…… はい。
「は〜 落ち着く。これが1番好き、手に馴染む」
何て名前の銃なんだろ、分かんないんだよね。
「いいよ、好きって気持ちだけで」
そっか。
「お休み、エイ」
お休み、アイ。
ねぇ、アイ。
ずっと思ってることがあるんだ。
今はいいけどさ。
もし、もしもだよ?
吐けなく、なっちゃったらさ。
エイは、アイになっててもいい?
初めて銃を吐いたあの日。
あれより前のエイに戻っても、許してくれる?
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