「死亡フラグが立ちすぎてる彼女を何とか救いたい」というゲームの世界に転生してしまったので彼女を救おうと思います?。

@osushi4042

第1話

「アレ?・・・」


朝目を覚ましたら知らない天井を見ていた。


意識がはっきりしない。


寝ぼけてるのだろうか?


ここは何処だろうか?


昨日夜更かしして難易度がクソ高い「死亡フラグが立ちすぎてる彼女を何とか救いたい」というゲームを遂にクリア出来てそのままベットに入って寝たはずだ。


状況が解らない。


とりあえず起きよう。


とりあえず俺は知らない部屋を見渡し洗面所らしい部屋に入った。



顔を洗おうと、自分の顔を見た。


・・・・・・


「は?。」


俺は衝撃を受けた。


この顔には見覚えがある。


というか昨日初めて見た顔だが脳裏に刻み込まれてある。


エンディングで初めて顔を見せる「死亡フラグが立ちすぎてる彼女を何とか救いたい」の主人公の顔だったからだ。


「まじかよ、夢じゃないよな?・・・」


意識がハッキリしてくる。体の感覚も。そしてこれが現実だという事を理解する。


どうやら俺はラノベとかでよくあるゲームの中の主人公に転生してしまった様だ。


この主人公の名前は九炉鵜クロウ信太シタ


この主人公の彼女がとにかく不幸すぎて二十回は死の危機に晒されるのだ。


それを救うゲームだったのだがかなり難易度が高かった。


とりあえず俺は状況を確かめる為に主人公の行動パターンを行う事を決めた。


出勤の為家を出た。


「おはよう。今日も暑いね。」


出勤途中、声を掛けられた。


振り返ると、そこには何度もゲームで命を落とした主人公の彼女、琵陣白ビジンハクアキラがいた。


どうやら俺はこの娘を助けなければならない様だ。




そして俺はゲーム通りに何とか最終局面までやってきた。


このゲーム、絶対に彼女に救ったと悟られてはいけないというルールがありこれを守らないと何処からか死神がやってきて主人公を殺すのだ。


本当に苦労したぜ。


交通事故とか、鉄骨が上から降ってくるとかは簡単に回避できたが、のどに餅を詰まらせて死ぬというフラグはどうなんだろうと思ったね。


その餅を俺が食えば簡単に終わるのだが、それを切っ掛けに彼女と離別してしまうとかギャグとしか言いようが無い。


まあ、それらを何とかクリアして今ここに居る。


最終のフラグは犯罪組織を壊滅させるというものだった。


主人公は秘密警察でかなりのエージェントだ。


秘密裏に組織を壊滅させる為、敵の本拠地を叩く。


これがゲームではすごく難易度が高く、前世で何度も失敗し、やっとの思いで成功して疲れ果ててそのまま寝てしまった。そして今に至る。


しかしこれはゲームでは無い。


ゲームでは一人で乗り込みボスを倒した後、一人モブを体力切れで逃がしてしまうのだ。


これが失敗パターン。


このモブがどうあっても絶対に彼女を殺してしまう。


一人で乗り込むから失敗してしまうのであって仲間がいれば成功率は上がるはずなのだ。


だから俺は同僚の巣家人スケット太郎タロウをこの仕事に引きずり込む事を決めた。


俺の努力が実り最終局面に巣家人をこの任務に協力させることに成功した。


そして今二人で組織の本拠地にいる。


「組織の人間は皆殺しだ」


「俺とお前なら簡単だろ?過剰戦力もいい所だ」


「失敗は出来ない。協力してくれた事を感謝する。油断するなよ。」


「解ったよ。普段通りにやれば万が一は無いと思うが何をそんなに気にしてる?」


「俺は用心深いだけだよ。行くぞ!」


俺達は組織に乗り込んだ。




俺の思惑通り簡単にボスを前に銃口を構えた。


まだ余力がある。やっぱり助っ人がいると楽が出来た。


これならボスを殺した後、柱の陰に隠れてる憎っくきモブも容易く狩る事が出来る。


俺は命乞いしているボスに迷いなく引き金を引いた。


そしてここからだ。


俺は柱の陰に隠れてるモブの前に躍り出て銃口をかまえる。


「ヒッ!?」


モブが狼狽える。


これでゲームクリアだ!。


そう思った瞬間意識が暗転した。




柱に隠れていたモブは混乱していたが、好機だと思いその場から逃げ去ってしまった。


「大きな事象の歪みを確認した。これにより事元犯罪とみなし、お前の魂の根源を本来の輪廻転生先に送還した。」


銃を構え倒れている九炉鵜のそばに立っているのは巣家人 太郎。そして銃を虚空へと向ける。


「転生とか言ってるが、お前らのやってることは事元犯罪だ。因果律を変え本来あるべき世界の人々を不幸にする。善も悪もない。一方の幸せは一方の不幸を招く。それを裁きに俺は来た。そこにいるのだろう?。俺を欺くことは出来ない。」


不意に巣家人の目の前に人が現れる。


「何故だ!。なぜがここに居る?。死神め!。俺は直接干渉していない!。何故解った!」


「貴様が知る必要はない。貴様がこの男の憑依させていた人間に娘を助ける為に作成したゲームをさせ、クリアしたのちその記憶をダウンロード。そして殺害して九炉鵜に魂の根源と記憶を憑依させ人格を乗っ取らせた。

ー人の殺害と一人の人格の乗っ取り、そしてこの先起こりえる悲劇を招こうとした。これが貴様の罪状だ。観念しろ。」


「ッ!どうして娘を救う事さえ許されない!。は言った。こうすれば娘を救う事が出来ると。何故なんだ~~~~!?」


「神など存在しない。事元犯罪は許されない。それだけだ」


「クッ!?」


男、琵陣白の父親らしき男が走り出す。恐らくモブを殺しに行くのだろう。しかしそれは明確な時元犯罪だ。未来を知るものが現世に干渉してはならない。


巣家人は銃をかまえる。フォノン・メーザー。


遥かに文明が進み、事象の改変をも可能な世界の武器だ。


撃たれた男は蒸発し、霧になって消えてしまった。


これでこの事件は解決だ。




不意に巣家人の前の空間がゆがむ。


時空移動の前兆だ。


現れたのは無表情の人形の様な容姿をした少女だった。外見はとてもかわいい。


「お迎えご苦労さん」


巣家人は少女の頭を撫で微笑みかけた。


少女は無表情だが喜んでいるのがわかる。


「今回もの足取りはつかめなかった。が、もうこの世界にとどまる必要はない。帰還する。」


少女は頷くと、時空移動装置を操作する。


二人はその空間からゆがみを残し消え去るのだった。

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