今を生きる
@1232_2525
第1話
「きてくれた」
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そこには既に先客がいた。
寒夜、紅月が彼女を照らす。
つい七時間前、日が落ちる前に別れたばかりだというのに、僕らは偶然──いや、まるで運命に導かれたかのようにこの場所で再開を果たした。
ここは祈願した者は永遠の愛を約束する神社であり、そして彼の日に、僕たちが一番最初に出会った場所だった。
軽く弾む呼吸を整えながら僕は、一歩、彼女へとあゆみ寄る。
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「覚えてる?むかし、ここでよく遊んだよね」
そう言って大切な過去を愛しむような表情を見せる彼女を追うように、僕も過去へと思いを馳せる。
小学校、中学校……今、僕らはずっといっしょだった。
家族ぐるみで花火をしたこと、この神社でかくれんぼをしたこと……それで……。
そんな思い出が……かけがえのない思い出が月日に照らされ、脳を駆ける。
「こんな毎日がずっと続けばいいなって思ったの」
ずっと続くものだと思っていた。幼心にそう信じていた。
しかし、僕らは成長した……いずれは大人になる日が来るだろう。
ならば
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「今が幸せなの」
時間がすべてを朽ちすのならば
「変わりたくないの」
今がクライマックスであるならば
「永遠にこのままならいいと思ったの」
いずれ時がふたりを別つならば
「キミと、ずっと」
月明り、うつし染まる彼女の頬、僕の鼓動が早鐘をうつ。
はじめから問題なんてなかったのだ
僕も同じだった
だから、運命は二人をここへ導いた。
僕は歩む。
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そして、彼女の華奢な体を抱きしめた。
目を見開く彼女。通り風が僕らを包み込む。
短針と長針、この世界に二つ、一つと重なり合い、溶け合う。
「大丈夫」
「────僕らは、永久の今を生きるのだから」
やがて時計の針は停止する。もう日が昇ぼることはない。
「ずっといっしょにいよう、ずっと……今を生きよう」
きっと想いは同じだった。彼女の頬をつたう熱が、僕の心に伝播する。
壊れゆくこの世界で、停滞を望んだ僕らは
進むことのない、永久の『今』を生きる
今を生きる @1232_2525
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