「返事はまたいつか聞かせて」

茶葉まこと

第1話 始まりの放課後

「志乃、帰ろう。」

「咲ちゃんごめん!今日は図書委員会なんだ。」

「そうなの?入学早々委員会とは大変だねー。」

「あはは…初委員会だから緊張してる。もうさっきから胃がキリキリしてるよ。」

「ご苦労さん。じゃあ、あたしは先に帰ってるね。」

「了解。」


高校に入学して約一週間。私、葉月志乃(はづきしの)ラッキーなことに幼馴染に花田咲(はなださき)ちゃんとは同じクラスになれたし、クラスの雰囲気も悪くない。


これから友達をたくさん作って、勉強に部活に委員会。一度しかない高校生活を存分に楽しむつもりです。緊張の胃痛で弱っている場合じゃない!ここは気合い入れて…。


「よし!」

「志乃、何してるの?一人でガッツポーズなんか決めて。」

「ひゃっ、咲ちゃん見てたの?」

「うん。なんか一人面白そうなことしてるなーって。図書委員会遅れるよ。」

「もー!咲ちゃん今見たことは誰にも言わないでよ!」

「言わない言わない。早く行きなさい。」


子供みたいに頬をぷっくりと膨らませて、私は教室を急ぎ足で出た。

後ろから咲ちゃんが「おーふぐみたいな顔だー。」とか笑い声が聞こえてくるけど気にしない。


図書室は特別棟の3階。ちなみに特別棟っていうのは特別教室棟の略称で、図書室、理科室、音楽室、美術室など普通の教室とは違ったタイプの教室が集まっている。


私たち一年生の教室は4階だから、階段を下りて、渡り廊下を渡って特別棟へ向かうことになる。


「遅刻して目立つのは嫌だし、急がないと。」


私は小走りで図書室へ向かった。

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