第一話

「久しぶり。熱大丈夫か?」

「うん、だいぶ楽になったよ」

「ならよかった」


会うなり俺がそう聞いた相手は俺の幼馴染の華恋だ。この会話からも分かる通り華恋は最近まで熱を出していて寝込んでいた。昔から体が弱く、風邪をひきやすく、病気にもかかりやすい。そんな体質なため、こうして体調が悪い時以外は俺が面倒を見ている。体調が悪い時は華恋の両親が仕事を休んで見ているらしいので、こればっかりは仕方がない。仕事を休みすぎるわけにもいかないだろうしな。


「ねぇ、私元気に卒業できるのかな?」

「大丈夫だ。きっと元気に過ごせるようになるさ」

「そっか、なら安心だ」

「後ろ向きになるなよ?両親に元気に俺と卒業する姿を見せて、大学の晴れ姿を見せたいんだろう?」

「うん!」

「なら、いつもみたいに神様を信じてゆっくり休んどきな?」

「わかった」


華恋がそう心配になるのも仕方がない。卒業式までもう1ヶ月なのだ。しかもこの願いは結構前から言ってる。しかも神様を信じているらしく、諦める様子もない。自分で自分の体がどんな状況なのかはわかってるはずだから、心配になるけど、やっぱり神様を信じているからこそ叶うと思ってるのだろう。俺は話を合わせてはいるが、神様のことを信じてはいない。だから、こいつの願いが叶うとは思っていない。それでも一応は話を合わせるんだけどね。


「明日からしばらく休みで明けたらすぐ卒業式だからな?ちゃんと休んどけよ?」

「うん!努力しないと神様もお願い叶えてくれないと思うからね!」

「そうだな」


このまま、大きく体調崩すことなく、卒業式に出れたらいいな。

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