今にも落ちてきそうな月の下で

空家秋也

プロローグ

「わかる? あれが私の想い」

「私の愛が、世界を壊すの」


彼女――のぞみはそう呟く。


爛々と、朗々と、煌々と輝く瞳で。


爛々と、朗々と、煌々と輝く月を見ながら。


大きく、巨きく。


美しくも恐ろしい。


けれど美しい月の下で。


空の窓を突き破ってきそうな月の下で。


今にも落ちてきそうな月の下で


「こんな私でも、大地君は好きになってくれる?」


真っ直ぐに、ただ真っ直ぐに。


大地だいち――僕を見る。


僕の瞳を見る。


僕の瞳の中に映る月を見る。


僕の瞳の中に映る月に映る自分を見る。


まるでその中に答えでもあるかのように。


応えでもあるかのように覗き込む。


望み、込む。


そして僕は。


僕は。


告白した。

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