すこしふしぎなものがたり(短編集)
teku
青少年作文コンクール 落選作品
僕は変態
田中 勇斗
僕は男の人に恋をします。
世間は言う。
「同性愛なんて全然普通のことですよ。」
「友達にも男同士付き合ってる人いるけどなんとも思わないっすね。」
世間は言わない。
「本人達の勝手だけど同性の友達から告られたら正直きつい。」
「風呂とか一緒に入るのは勘弁だわ。あトイレもか。」
「分かる。ふつうにきもいよな。」
僕達のような人への理解が進む一方で、その「理解」は社会から同性愛へのどうしようもない嫌悪感を隠してしまった。同性愛者と分かった友達と銭湯に行ったとき何も思わないことは難しいことだと思う。
僕は思う。同性愛を受け入れられないことと「同性愛を持つ人」と仲良くなれないことはイコールなのだろうか。
世間は同性愛者という人種を作り出すことで理解のための教科書を作り出した。その本にタイトルをつけるなら「完全解説!同性愛者の仕組み」とでもなるのだろうか。
なんだか小学館で出そうなタイトルだな。まあもし小学館が出したらその瞬間炎上するんだろうけど。
みんなその本を持っているのに。
とにかく世間の僕達への接し方はここ最近で大きく変わった。それがマニュアルだとしても拒絶せず受け入れようとしてくれることは素直に嬉しいことだ。
僕達は異常なわけじゃない。病気なわけじゃない。男が好きな男だからといってその立場を利用して痴漢のようなことを企んでるわけではない。
同性愛者は変態じゃない。世間がその意識を共有し始めてくれたんだ。それはきっと多くの同性愛者の心を救うだろう。
僕はそれでも言いたい。
「僕は変態です!!!」
銭湯に行くときは正直ラッキーだと思ってます。男友達の部屋に行くときも、タイプのやつならドキドキもします。
男が好きだとカミングアウト出来ず18で恋愛経験ゼロですが普通に告る勇気がないだけです。女が好きでも一緒だったでしょう。
友達との恋愛トークに女好きを装って参加するのは辛いですが、ぶっちゃけそんなの我慢できるくらい銭湯は良いところです!
公衆トイレでそっと視線を揺らすのは僕だけでしょうか!!
こんな同性愛者のことは小学館の「完全解説!同性愛者の仕組み」にも書かれていないだろう。
もちろん同性愛者の皆がこんな考え方なわけではないと訂正は入れておく。しかし本来そんな訂正も必要ない。
同性愛者を一つの種族と見なしたのは僕達ではない。
僕達の一つの特徴はいま世間で流行りの正義のヒーローごっこに使われてしまった。全く馬鹿らしい。真剣に考えて行動している人に失礼だ。
レッドブルーイエローグリーンピンク。きっと彼らの世界ではピンクは男がレッドは女がやっていることだろう。
まあそんなことは僕には関係ない。したい人が勝手にしていればいい。
ごちゃごちゃと考えるのはこれでおしまい。
今日も僕は僕が世間に見つからないことを願いながら銭湯へと向かいます。
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