第71話 ステルスな男
ふふ、イケメン様...じゃない、間宮先輩。まだ終わらないのかなー。
さっきイケ爺様から聞いた、彼のバイトの終了時間は実際もう来ている。
だから、もうそろそろ出てきてくれてもいい頃合いなんだけどなー。
さっきはお礼なんて大丈夫だからと、お誘いを優しく断られちゃった私だけど、そんなことで、はいはいと首を縦に振って諦める私じゃないの
てか、このユジンちゃんが地味に男の人から何かを断られるのって、初めてかも。
私のメロメロ攻撃にも微動だにしない男としての余裕。そして、遊びで手を出してくるような素振りも全く見せない格上感。
さすが間宮先輩。本当にそこがまた痺れちゃう。
私って、圧倒的に追われるよりも、追いたい派の女だし。
フフ、もうなりふり構わず、初めっからリミッター外しちゃうんだから。
だって、優しくて、カッコよくて、頭もいい。最強じゃん。これ以上の優良物件もう絶対に現れないじゃん。
それに、あんな出逢い方をするってもう運命じゃん。
一回帰ってちゃんとお風呂も入ってきたし、準備は万全。
もちろん、私だってそういうのは初めてだから緊張はするけど、相手は間宮先輩。
絶対に上手だし、フフッ、あの最高の肉体をまた...
「......」
それにしても、やっぱり遅くない?
って、フフッ
そんなことを考えていると、背後から唐突に肩を叩かれる私。
さすが間宮先輩。女の子に対する肩への触れ方も超スマート。
よし。じゃあ、私はそんな間宮先輩にまずは超かわいく振り返ってあげる。
「先輩。お疲れさまです!」
最高級の笑顔で彼を労うわた...
「......」
え...
「あら、どうしたのかしら。そんなにご機嫌な笑顔で挨拶してくれるなんて」
何で...
「ハ、ハニ...先輩。何で...」
本当に何で、先輩は先輩でも...
ハニ先輩がここに...
「フフッ、ユジン。あなたが私のお願いごとをサボってこんな所にずっといたからよ。一体ここで何をしているの?」
そして、そう言って、当たり前の様に私の座っているテーブルの前の席に腰を下ろす彼女。
ヤバい。
怒っているはずなのに何故かご機嫌な表情のハニ先輩。
逆に怖い。怖すぎる。
え? 嘘。もしかして間宮先輩のことを、もうハニ先輩も嗅ぎつけて?
いや、違う。おそらく違うはず。落ち着けユジン。まだ先輩には彼の存在はおそらくバレていない。
そう。私のおサボりがバレているだけだ。落ち着け。落ち着くのよ、ユジン。
「で、一体、ここで何をしているの?」
ここで何をしているのって...
いや、そんなの絶対にハニ先輩には...
って、嘘。嘘でしょ。
そう。
私の目には、ハニ先輩が座る少し後ろを間宮先輩がスーッと出口に向かって歩いていく光景。
駄目。いや、何で、何でこのタイミング。
ちょっと、待って。駄目、まだ行っちゃ
「ねぇ、見る限りではあなた一人の様だけど、他に誰か一緒にいるの?」
「いや....いませんけど」
「そう。じゃあ、待っているわけね」
あぁ、呼び止めたい。呼び止めたいけど、そんなことをすれば目の前のこいつに間宮先輩のことがバレる。
あぁ...間宮先輩。待って、行かないで。
って、あぁ...出て行った。
私の目には、店の出入り口から出て行って、ゆっくりと駅の方へと歩いて行く、また眼鏡姿に戻った間宮先輩の姿
って、え?
いや、ちょっと待って、誰あの女。
彼女も間宮先輩を追いかけるように...
は?
しかも何、あのさりげなくもあざとい、背後からの肩ツンツン...からの
その頬を赤らめながらの嬉しそうな笑顔は。
は? マジで誰?
「ん? どうしたの? フフッ、さっきからそんなに私の後ろばっかり見ちゃって。まるで、誰かが来ないか、ずっとこの席から見張っている様に見えちゃうんだけど」
はぁ...目の前の女は女で何かよくわからないこと言っちゃっているし。
「ねぇ、ユジン。私がここにずっと座って待っていたら面白いものが見れたりするのかしら」
あ?もう見れねぇよ。
「さあ...」
「あら、どうしたの、さっきの笑顔が嘘のようにそんな意気消沈した顔しちゃって。まるでサボりじゃなくて、別の何かが私にバレちゃったとか?」
「さぁ...とりあえず帰ります。失礼します」
もうここにいても意味ないので。
「フフッ、じゃあ私はここでもう少しだけ待たせてもらうわ。ご苦労だったわね。ユジン。彼が来たらまた連絡してあげるから」
「はい...」
誰が来るのかはわかりませんが、そこでずっと待っていてください。
私は帰ります。
「.....」
でも、本当に誰だ。あの女。
しかも、かなり可愛かったけど
もしかしてあの女も...
「ありがとうございましたー」
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