エニグマ
要するに、それらはなんらかの”問いかけ”であるという話は一致しているわけですね。
―そうです。言い方はそれぞれでしたけれどもね、大抵の子どもたちは「答えた」っていうわけです。ほら、███小学校の児童さんらばっかりでしたから、なんかしら、ほら、ああいうところは流行るでしょう、学校の怪談みたいなやつ。それに接した子らの集団ヒステリーか何かだと思ったんです。
先生が診た児童さんたちも、とりあえずは様子見をということだったんですよね。
―はい、如何せん、様子がおかしくなったと言われても、私と話す分には何の問題もありませんでしたから。寧ろ皆さん、あの歳にしてはきちんと落ち着いて話してくれて、しっかりした子たちだなと思ったんですけどね。
しかし、二度も三度も受診されるご家族がいらしたと。
―ええ、回数を重ねるごとに減ってはいましたけれどね、どの親御さんも不満そうには見えましたね。しかし検査で異常が見つからないもので、我々も手の打ちようもなくてですね。
保護者の方々は、どのような症状を訴えられていたんです?
―それがねえ……。なんというか、変な話で、あんまり言いたくないんですよ。この箇所、話はしますけど、掲載しないようにしていただくことはできますかね。
可能です。出来上がった原稿もお見せして、不安な点がありましたら改稿するようにしますので。
―わかりました。じゃあこの話は内密ってことで頼みたいんですけれどね、まあ、どの親御さんも同じようなことを言うんですよ。その、つまり、「おかしくなった」っていうのは、どうもねえ、「別人みたいになった」っていうことなんですって。いやね、まあ、貴方方はそういう雑誌の記者さんだから慣れてらっしゃるかもしれないんですけど、私から聞けばそんなの殆どオカルトですから。
別人みたいに?
―そうなんです。でもね、親御さんが言うには、たとえば「癇癪もちだったのに急に大人しく授業を受けるようになった」とか「甘いものが大好きで毎日おやつをねだってきてたのにすっかり食べなくなった」とか。でも、そのことについて子らに訊いてみると、気が変わったとか、真面目にやらなきゃと思ったとか、ごく普通の話でしょう。だから私も困ってねえ、それで、まあじゃあ、様子を見て貰って、なにか困りごとが起きたらまた来てくださいと言うわけです。
それで、実際になにか困りごとがあったご家族はいらしたんですか?
―いいえ、いないんです。もうあの当時のご家族は一人もウチにはいらしてません。まあ、一過性の者だったのかもしれません。
なるほど、わかりまし―
―あの
はい?
―いいえ、あのね、いや、ひとつお聞きしても?
え、ええ、自分でわかる事であれば
―その、ユウキくんはお元気ですか?
[2014_05_07_log.m4a]
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