死んで中学生に戻った僕は、クズだから、助けた君にキスを要求し続ける
品画十帆
第1話 死に戻り
僕はどうしようもないクズだ。
高校三年生のくせに、受験勉強をちょっぴりしただけで、もうスマホから離れなくなってしまった。
ゲームが止められないんだ。
ほんの少しだけだ、と自分に言い聞かせて始めたはずなのに。
結局そのまま、深夜までやってしまった、これじゃどこの大学にも入れそうにない。
内申が良いはず無いのだから、推薦は期待出来ないって言うのにな。
何をやっているんだ、この愚か者めが、と思う。
でもゲームをしないと、イライラしてしまうんだ、だから、どうしようもない。
元々勉強が出来る方じゃないのに、高校の三年間はゲームをするのと、アニメばかり見ていた。
高校だけじゃない、中学の三年間も同じだったな。
どうして僕はこうも真面目じゃないのだろう。
顔も普通以下だ。
バレンタインにチョコなんか、生まれてから今まで、もらえる気配は全くのゼロだ。
これからも一生無いと、百万円でも一千万円でも賭けられるぞ。
母親とおばあちゃんに、小学生の時にもらっただけだ、それどころか女子とまともに話したことも無い。
スポーツもからっきしだ。
体育の授業でボールを
一週間くらいそれをからかわれて、泣きそうになった、すごく悔しかったからしょうがないだろう。
それに善良でもない。
廊下を歩いていたら、前を歩いていた女子が封筒を落としたんだけど、僕はそれを拾って自分のものにしてしまったんだ。
封筒には〈女子バスケ部〉と書いてあったけど、封筒の中に入っていた数枚の一万円札が僕の目に飛び込んで来たんだ。
僕は周りを見渡して誰もいないことを確認した後、それをポケットに入れた。
速攻でプリペードカードを買って、何度も何回もゲームのガチャを回した、とても興奮したけどクズしか出なかった。
僕は運も悪いらしい。
次の日に学校へ行くと、職員室に呼び出されて、「廊下で封筒を拾わなかったか」と先生に聞かれた。
僕は頭の回転も悪いのだろう。
この時になぜピーンとこなかったんだ。
「封筒ですか。 見たこともありません」
誰が撮ったのか分からないけど、僕が封筒を拾うところが、バッチリスマホで撮られていたらしい。
慌てて周りを確認したから、見逃してしまったんだろう。
僕は間抜けでもあるんだな。
先生にすごい勢いで怒られて、僕は涙目になっているのに、学校に呼び出された母親は本格的に泣いていた。
「情けない」
「本当に情けない」
母親は僕を盛大にデスってくれた、それも連発でだ。
お金は母親が返したのに、僕は一週間の停学を言い渡されてしまった。
これじゃ僕の悪事が皆にバレてしまうよ、学校生活は最悪なものになるだろうな。
家に帰ったら父親が鬼のような真っ赤な顔して、「正座しろ」と怒鳴り、その後も散々怒られてしまった。
「金を盗むとは、人として恥ずかし過ぎる。 お前なんかいらない」
これが父親の本音なんだろう。
「そうですか。 分かりました」
僕はそう言い残して家を飛び出した、父親と母親は「もう顔も見たくない」と
僕はとてもイライラしていたので、赤信号なのに車道に飛び込んでやった。
誰かにこの
それとも僕の命で、両親や先生に一生消えない罪を、着せてやろうと思ったのだろう。
トラックの運転手が
僕はニヤニヤしながら、宙を飛んでいたと思う。
だけどすごく痛い、体が寒くなっていくし最悪だ、部屋に
そして目を覚ましたら、自分の部屋のベッドだったわけだ。
部屋に壁には、自分で描いた恐竜の絵が張ってある、あれ、おかしいぞ。
この絵は中学へ入学した時、アニメのヒロインのポスターを張るために、ゴミ箱へ捨てたはずだ。
一階へ降りると母親と父親が、朝食のパンを食べている。
「えらいぞ。 日曜なのに、早起きが出来たな」
僕はここで〈死に戻り〉を確信した、昨日の父親が僕を
お金を盗んだことが消え去り、僕は心の底から嬉しくなった、パンを二枚も食べてしまうほどだ。
「へぇー、沢山食べたわね。 良く食べる子は良い子よ」
さらに確信出来た、昨日〈情けない〉と泣いていた母親が、こんなに笑わないだろう、笑ったら気がふれているよ。
僕は部屋で勉強をする事にした、今放送しているアニメは結末がどうにも納得出来ない、僕が嫌いなヤツなんだ。
初見なら我慢して見るのだけど、二度目はとても見る気がしない。
スマホのゲームも出来ないんだ、中学への入学祝いに買ってもらったからな。
だから消去法的に勉強をしている、昨日親に〈情けない〉〈恥ずかし過ぎる〉と言われた事が、思っている以上に、僕の心へダメージを食らわせたのかな。
だけど、僕は直ぐに勉強を止めた、なぜならめっちゃ簡単だからだ。
僕は高校三年生なんだから、小学六年生の問題は超簡単だ、当たり前だよな。
だから僕は図書館に行く事にした、そこで高校の問題集でもパラパラとめくろう。
友達と遊ぶと言う選択肢はない、だって休みの日に誘えるような親しい友人は誰もいない。
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