第7話

「ま、ステータスの1ページ目の説明はそんなところです。補足するとすればレベルが低いうちは、アイテムないしアビリティでもって生命を回復させつつダイブすることになります。特に問題なければ2ページ目の説明いきますが……みんな下りてきましたね」


 いつの間にやら今回のダイブメンバーが全員、入出場の担当職員佐渡さんと共に下りてきていた。

 渡部氏―心の距離によりさん付けから離れた―から出発の声明がかかる。


「それではもうすぐ開始時刻18時になりますので、ダイブを開始します。佐渡さん、人数確認よろしいですか?…はい。それではこれより5F(階)を目指します。到着次第、グループで別れて21時半までに4F上り口に集合となります。

 三澄君、川端君、風見君、田川さんは先に初期説明を終わらせてください。その後、19時半に2Fを20時半に3Fを目指してください。あくまで目安ですので田川さんは無理しない、させないようにしてください。21時半には最寄りの上り口に集合してください。

 各人、命の危険があることを決して忘れないように。人命優先、安全第一での作業を心掛けてください。

 それでは、よろしくお願いします」

「「「「「お願いシャース」」」」」


 渡部氏が俺以下4名を除いたメンバーを率いて出発する。

 川端さんと三澄―心の距離と壁により以下略―は装備を持って近づいてくる。三澄は進捗の確認をしてくる。


「今、説明どこまでいったの?」

「ちょうど1ページ目まで終わったところです」

「あ、2ページ目か。じゃ、離れてるわ」


 加われよ。意図は判るけれども。

 また2人が離れていったのを確認して説明を続ける。


「2ページ目ですが、さっき言った通りの理由により、ステータス見ながらの説明ができません。判り難いかもしれませんが1人で操作お願いします」


 言いつつ、阿部さんと一緒に田川さんの前にまわる。


「そしたら、右下の▽押してください。…じゃあ、2ページ目の画面の説明に入ります。

 頭に属性って書いてあると思います。その下の武器・防具・魔術までの欄に書いてあること教えてもらえます?間違っても自由の欄は読み上げないようにしてください。阿部さん、記録お願いします」

「はい、えーと。斧(片手)、盾(小)、気功ってなってます」


 読み上げられた3属性は協会に登録される。この他にも到達階層などを登録することで、協会から仕事を割り振られたりする。


「自由の欄については重ねて言いますが教えちゃダメです。ただ、さっきの属性の3カテゴリーのどれかに含まれるはずなので、カテゴリーの登録だけするのが一般的です」

「?、どいうことでしょう?」

「属性ってのは早い話が才能の方向性です。自分自身に向いてる武具や魔術の属性が、ダンジョン特有の謎システムによって表示されます。属性によって発現し易いアビリティや伸び易いステータスが変わるので、それに合わせて自分の成長の方向性を決めるのが一般的ですね。

 あくまで容易になる程度で、頑張れば今持ってる属性と関係の薄いアビリティーも手に入れられますし、何なら後天的に属性が変わる可能性も在ります」

「そうなんですか?」


 ここで他3人が口を挟んでくる。


「「「ほぼあり得ないです」」」

「天性の才能が変わりましたって言ってるのと変わらないです」

「そこに期待するなら素直に自分の才能に従った方が早いです」

「10年に1度噂で聞くレベルですね」


 まー、そうなんだけどさ。自分のやり方最初から狭める必要なくない?

 生き方なんざ人それぞれだから口には出さないけどな。


「話し戻しますと、最後の自由属性ってそれ以外の3属性のいずれかを強化・補助する属性なんです。

 例えば、剣(片手)の武器属性を持ってる人が複数いたとしましょう。

 自由属性が槍(片手)、斧(両手)、長弓の3人の場合です。これらはすべて武器属性カテゴリーであり、3人とも武器を使った攻撃が得意になります。

 しかしながら伸びやすいステータスがそれぞれ敏捷、膂力、器用みたいな違いが出ます。自由属性が防具・魔術の場合と比べて耐久・精神が伸びにくいっていうのは共通です。

 さらに、アビリティーが突き・連撃型、斬撃・必殺型、突き・長射程型といった感じで、それぞれ発現しやすくなったりもします。

 もうひとつ言うと自由属性が剣(片手)で自身の武器属性とかぶったりした場合、そのかぶった属性はかぶらない場合と比べて1.2~1.3倍、アビリティー性能が高くなるらしいです。

 自由が防具・魔術のカテゴリーの場合も同じ様な形ですね。

 要するに自由が3カテゴリーのうちどれに属するかを探協に登録することで、物理攻撃・防御・魔術のどれが得意なのかを協会に登録できます。探協は企業からの募集内容に合わせて人材紹介もしますので……」

「……自由属性のカテゴリーを登録すれば、割り振られる仕事のバリエーションも増える?」

「「「「そういうことです」」」」


 ご理解いただけたようでなにより。


「最後に異能、…さっきからアビリティーって呼んじゃってますが、の説明ですね。

 技能と技法の欄があると思いますが、紛らわしいのでスキルとアーツって普通は呼びます。…据わりが悪いので、異能がアビリティーですね。

 スキルの方はパッシブ。条件さえ満たせば自動で発動するアビリティーです。

 アーツはアクティブ。自分の意志で発動する必殺技とか魔術を指します。

 どちらも属性値を使って取得できます。使用の際は魔力ないし生命、MPを消費します。それと取得したり、熟練度を上げたり…あー、使い込んだりすると、それに応じてステータスが上がります。…レベル上げより効率よく」


 ゲームのようにはいかないけれども。

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