第6話

「ちょ、あーさん!ガチで引っ張ってんじゃん!足、足折れる!」

「そ、それを言うなら涼しい顔してなんつう力だよ!サラッと離せよ!」

「顔はきっちりメイクしてるからですー!一応勝負だからね、手は抜きたくないの!」


くっ、それはそう!

綱引きが始まって1分ほど、両者1歩も動きません。

いや、ロクの力強い。

今は女性の見た目だけど、本来の姿は巨大な鹿のモンスターだから足腰が強い。

地面がえぐれてるから結構踏ん張ってるのは分かるけどそれでもビクともしない。

俺も足を地面に突き刺して踏ん張ってるけど中々ギリギリです。


「……さ、さすがにもう少し力入れるか。ふん!」

「ちょ、筋力強化?!まだ使ってなかったの?!」

「い、一応は、ね?綱切れないようにしてたけど流石に流石に」

「そ、それは私でも耐えきれないかも!なら……ほっ!」


ロクの足が淡く光出した。

ググッと引っ張る力が強くなる。

くっ、やはり足腰は正義か!

腕力だけじゃ勝てないかも……!

てか、綱が切れないように魔力込めて補強しながら引っ張るの辛い……


「今回は、勝たせてもらおうかな!スパイスのためにも!」

「ここまで来てもスパイスかよ!このスパイス狂いが!」

「美味しいは正義だからね!ふん!」

「ちょ!?」


一気に引っ張られて体勢が崩れた。

ギリギリで踏みとどまったけど印がロクの方に寄ってしまった。

後数センチで決着してしまう!


「とーちゃん!がんばれー!」


ちりちゃんの応援が聞こえる。

子どもの前で負ける訳には、いかない!


「ふぎぎぎぎ……負けてられるかー!」


ボンッ!


「ととっ、くっ足に魔力を込めて爆発させた!?あーさん、人間辞めるのやめな?!」

「うるせー!ふんばったら魔力漏れたの!だが、これで終わりだ!」

「ちょ!?」


俺は体勢が崩れたロクごと綱を持ち上げる。

背負い投げのような体勢で一気に引っ張ると印が俺のラインを超えました。


「け、決着ー!勝者、田島さん!」


うぉー!!!

ドンドンドンドン!!!


赤組サイドから歓声が湧き上がる。

か、勝てたよー……バタン


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