~あーさんのドタバタ運動会~
金剛石成
第1話
「いやはや、今回は参加していただき恐縮ですよ。まさかSSSランクの方が来られるとは」
「いやー、我が子の運動会ですから」
「確かに!ワッハッハー」
ほがらかに笑う校長先生。
今日は10月、天気は晴れ。
絶好の運動会日和です。
ここは近所の小学校。
チリちゃんが通っている託麻中央小学校になります。
今いるのは中央の役員席。
校長先生である人吉先生と2人で会談中です。
……俺、父兄席で良かったのにここだとちょっと気まずいですな。
「本日は田島さんも父兄参加の競技に参加されるとの事。校長として、一市民として楽しみにしておりますよ」
「いやいや、ダンジョンから出た探索者はただの人間ですから」
「いやいやいや、田島さん。冗談はよしこさんですよ。この前の駿河湾での巨大モンスターの討伐、凄かったじゃないですか。十分お強いですから」
「……中々古い言葉を使いますね校長先生。あれは緊急事態でしたからね?ホイホイ使うもんじゃないですから」
地上で魔法とかスキルは使えませんよ。
まぁ、エーテルとか魔力回復薬があれば何とかなるんだけども……
今日の運動会は父兄参加競技が多めです。
校長先生の教育方針が『親も子も健やかに』という事で運動会は親と子が協力して行う競技がメインになっている。
だから組体操とか全員ダンスとかもない。
親としては安心して見られるねー。
「……で、ここでひとつ相談がありまして」
「はい、何でしょう?景品とかは出せませんよ?ギルドを通してもらわないと」
「いえいえ。景品とかは大丈夫ですよ。もうすぐ開かれるお遊戯会の時は準備とかを父兄の方々にはお願いするかもですが……田島さんは赤組に参加でしたよね?」
「ええ。チリちゃん、もというちの子は赤組ですから」
チリちゃんは1年生で赤組さんです。
さっきも行進の時に赤い帽子をルンルンで被って歩いてたもんね。
うん、うちの子可愛い。
「……それなんですけど、田島さんのご友人であられる、お名前はロクさんでよかったですかね?あのお方の手を借りられないかと」
「へ?ロク?ロクなら確かに暇してはいますが……あ、パワーバランス的な?」
「そうです!流石に保護者会から『SSSランク1人いるだけで赤組楽勝は納得出来ない!』って話が上がりまして……」
「あぁ……それはそうですねー」
地上じゃそんなに力は使えないとはいえSSSランクの圧って凄いらしい。
俺はそんなとこないと思うんだけどねー。
まぁ、ロクは今日も来てるし話せば参加してくれるでしょ。
「じゃ、ちょっと聞いてきますー」
「よろしくお願いします。これでPTA会長から突き上げが収まる……」
「……あぁ、会長さんは白組でしたね」
うん、校長先生お疲れ様です。
「……俺そんなに突き上げてませんからね?まぁ、仕事の立場を使おうと思えばそっちから圧かけますから」
「あ、加勢川さん!……しれっと怖いこと言わないで下さいよ」
後ろから声をかけられたので振り返る。
そこに居たのは大柄な男性。
託麻中央小学校のPTA会長にして俺の会社の先輩である加勢川さんでした。
加勢川さんはチームとしては別だけど後輩思いのいい先輩。
顔は怖いし、体格もいいからちょっと怖いけど、新入社員の時に色々教えていただきました。
ゆりとの結婚を機にこの場所に引越ししてきた時は引越しの手伝いをしてくれたりして大変助かりました。
「いやはや、言葉のあやですよ言葉のあや!もちろん加勢川さんは色々対応していただき感謝しかないですよ!ほんと、今の託麻中央があるのは加勢川さんのお陰ですよ」
「……まぁいいですけど。人吉先生ですから。昔から冗談が多いので」
「流石!分かってるねー!」
……仲良いなー、校長先生と加勢川さん。
確か加勢川さんの小学校の頃の担任なんだっけ?
そりゃ知り合いだよねー。
とりあえず、ロクに話を通してから運動会を楽しみましょう。
父兄席はどこだったかなー?
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