春夏冬姉弟はふたり暮らし
@Goro741
姉、初詣を急ぐも
大晦日、姉は今年あげたお守りを早く出せと
「返してくるから、新しいの何が良い?」
「何でも良いよ、つか毎年お守りくれなくても」
「私が決めたことに文句でも?」
「…ありませんよ、はいはい」
ようやく出かけた。
両親の葬儀を終え、この古い一軒家を整理するうちになんとなしにふたり暮らしが始まった。
それから毎年、近所の神社でお守りを選んでくれるようになり、年明けは混むからと大晦日に初詣を終える姉である。
年越しそばを食べたら紅白も除夜の鐘も聴けずに早々と寝てしまうし、また変わらない明日を迎える。
はずだった。
元日5時。
弟はいつも通り目覚めたが、姉は起きてこない。
6時。朝食を終えたが姉はまだ夢の中。今起きて食べてくれた方が楽なので様子を見に行く。
「
(珍しいな、正月とはいえ)
ふと、布団が随分と平らになっているような気がして構わず剥いでみる。
(いない…)
「家出?」
(いや、帰ってきてから出てったら気付くし起きてからも玄関開けてないし)
「あ、うんこか」
「違うわ、したいのに出ないわ」
「なんだよ、元日くらいすっきり…え?」
見渡すが、姉はいない。
トイレを開けるも、いない。
押入れ、クローゼット、いない。
ベランダを開ける。寒いだけだった。
「え、どこにいんの」
「ここっす、ここ」
声は足元から聞こえる気がする。
しかも何かに触られている感触もする。
息を止めて目線を落とす。
「弟よ、私ぬいぐるみになっちゃったわ」
「!!?」
そこにいたのは、姉のかえるのぬいぐるみ、ノスケがいた。
「ノスケ」
「ノスケになった、お姉様だよ?」
「…うんこ出たか」
「だから出ないって言ってんでしょ、てかぬいぐるみはうんこしないわ」
「やっぱ
「姉の判別方法それしかないんか」
「…で、何でこんなことになってんだ」
「さすが准教授、現状の受け入れ感謝する」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます