学園の美少女達の相談に乗っていたら、いつの間にか懐かれていた件について
@tatibanamikage
第1話 ラブコメの予感
「貴方の人生に幸多からんことを」
「優也くん、いつまでここに居座るつもり?」
「先生が許してくれるなら永遠に」
生徒と教師という関係とは思えないほど
とても緩い雰囲気で軽口を交わし合う。
「そんなの許す訳ないでしょ」
「センセーが言った条件は満たしたはずです」
「学年1位になれるなら、勉強なんて
しなくても良いじゃない?
(教師が言う言葉じゃねぇ……)
そんな教師からの、勉強しなくても良くない?
という質問に優也は呆れたように返す。
「心理学ですよ、心理学。」
「あぁ、カウンセラーになりたいんだよね?」
その通り。優也の将来の夢は
幼い時から決まっており、その夢は
カウンセラー。という職業である。
「夢に勤勉なのはいいけどさ、
人生に1回しかない高校生活だよ?」
「それはそう……なんですけどね」
優也から乾いた笑みが零れる。
(優也くん、君の"事情"は知っている。だけど…)
教師は、一瞬苦い顔を浮かべたが
すぐさま、生徒と向かい合う顔。に戻した。
「友達とバカやったり、恋愛にうつつを抜かしたり
部活に熱中したりさ、色々出来るのは子供の特権」
「それなら……」
(お!?割と好感触か?)
教師が期待を込めて優也の言葉を待つ。
「心理研究会とでもすれば合法的に教室使えますね」
「……そうじゃねぇのよ!」
(馬鹿だった…優也くんに期待した私が…!)
教師が生徒に向かって期待したのが馬鹿、
と思ってしまっているとんでも状況だが
これは流石に教師側に同情してしまう。
「今から申請してきます。うちの学校無駄に
広いんで1人でも弾かれることは無いでしょうし」
「え、ちょまっ!」
教師がそんな止めにかかった言葉を
投げかける前に優也は教室から消えており
先程の宣言通り、申請しに行ってしまったのだろう
「あ~あ、ミスったなぁ」
そんなことを呟くが、誰1人として返答してくれる
同僚は、生徒は居ない。
(……いや、これ逆にチャンスなのでは?)
教師は少し考えた後、そのような結論に至った。
「研究会の活動、という名目で
優也くんに他の生徒のカウンセリングをさせる」
(いや、そこまで大層なことにはしなくていい……)
生徒の悩みというのは簡単に解決出来る問題
じゃない。それに、それは教師の我々の仕事だ。
でも、同じ学生になら相談しやすいことも
あるにはあるだろう。
(カウンセラーになりたいなら、実践は必要でしょ)
うちの生徒達を実験台のような形にするのは
どうかと思ったが、利点がない訳じゃない。
そう言い聞かせて、優也に生徒との関わりを
持たせようと決心するのだった。
「"優也"君はもっと人の優しさに触れるべきだ」
「……なんか言いました?」
「今カッコつけたんだから1人にさせろよ!」
(……理不尽だ)
これに関しては、完全なる理不尽である。
「取り敢えず今日は帰れ、申請通るのまだだろう」
「それなんですけど、1つお願いが……
先生、顧問やってくれません?」
(ま、断られるだろうな)
優也の考えでは、教師側にメリットはない。
生徒と優也を関わらせたいのだから、
この優也のお願いは、受理されるものではない……
優也の考え、での話だが
「あぁ、良いぞ?」
「えっ?」
優也は困惑の声を無意識で零す。
「せいぜい、"活動"に励めばいい」
「なんか裏がありそうですけど」
「ないない、教師を信じろ」
嘘である。バリバリに信じれない。
この教師の天職は詐欺師なのかもしれない。
(まぁ何か企んでても大丈夫だろ)
優也はそのような結論に至り、
お願いします。と言って帰宅するのだった。
(ま、あんなカッコつけて言ったけど……)
「ぶっちゃけそんな都合の良い生徒居ねぇ〜のよ」
それはそうだ。大抵の悩みは教師が解決する。
そんな、生徒に相談したい。
だなんて都合いい生徒が居るはずが……
「先生、相談したいことがあるんですけど」
(おいおい、居るじゃないですか)
居た。それもかなりの有名な生徒。
この子に悩みがあったのは意外だけど
完璧に見える子ほど、悩み抱えてることも
あるのは不思議じゃないことよね
※オタク的思考である
(まぁ、流石に私が解決する問題だよね)
「こんなこと言うのあれなんですが、
先生には……相談しずらくて……」
(……なんか仕組まれてる?)
ドッキリを疑ってしまうレベルで
事が上手くいきすぎている。
(まぁ、このチャンスを逃すのは勿体ない)
「それなら、直近に心理研究会っていうのが
出来る予定なんだけど、
その生徒に相談してみない?」
「……生徒ですか」
(……踏み込み過ぎたか)
優也だけ特別、という訳では無い。
生徒の悩みを利用するなんて教師として
そんなの駄目に決まっている。
「やっぱり忘れ……」
「はい、よろしくお伝えしてください」
教師がそう言い終わる前に、目の前の生徒は
言葉を発していた。
「……えぇ、分かったわ」
「用事はそれだけなので、
手間をかけさせてすみません。さようなら」
「さようなら西園寺さん」
(こんなの……こんなの……)
ラブコメの予感しかしないじゃない!
そう心の中で呟くのだった。
※オタク的思考Part2
「……ただいま、母さん」
"誰もいない家"に、優也はそう呟くのだった。
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