プロローグ
第1話
ニャア、という小さな鳴き声で目を覚ます。
いつの間に寝てしまったのか、もう外は暗くなっていた。
時計の針は八の数字を指している。
「ごめん、クロ」
私のたった一人……というか一匹の家族、黒猫のクロ。
彼の食事の時間をもう二時間も過ぎてしまっていた。
餌の入っている筈の引き出しを開けて顔をしかめる。
どうやらクロの晩ご飯はもう少し後になりそうだ。
「ごめんね、すぐ買って来るから」
スウェットの上からコートを着て家を出た。
寝起きの体に十二月の夜風は冷た過ぎる。
餌の数を確認しておかなかった自分を呪った。
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