VRMMORPGのNPCへ転生したのでソロプレイを謳歌してたら、最強になって超人気VTuberとコラボできたけど、バチャ豚に殺されかけました
はいそち
転生
高校1年生の桐野遥人は、授業をサボって急遽冬山登山へと出かけた。成績こそ悪くなかったが将来やりたいこともなく、明け方までゲームをしたりVTuber配信をダラダラと観る生活にちょっとした変化が欲しかったのだ。
そんな思い付きの行動で挑んだ冬山登山である。ほぼ普段着の装備、登山届は出さない、登山ルートもろくに調べない……遭難フラグをこれでもかと立てた遥人の挑戦は、凍った雪に足を滑らせての滑落死に終わった……はずだった。
◇
「さーて、今日も落とし罠を巡回しますか。」
自宅の小屋のほど近いところにあるモンスターの狩場に出かけて、手製の落とし罠を一つ一つ巡回していくのが日課になっていた。
「超簡単!落とし罠で最高率強化!みたいな攻略動画出したらバズるんじゃないか?」
軽口を叩きながらご機嫌でドロップアイテムを回収していく。狩場のいたる所に落とし罠を設置した結果、戦うことなく効率的にアイテムと経験値を獲得することが日常と化していた。
「まさか雪山で滑落死して、レジェエルのNPCキャラに転生するとはねぇ……」
遥人が転生したのは、大人気VRMMORPG“レジェンド・オブ・エルミナ”、通称“レジェエル”の世界だった。レジェエルは、ゲーム好きの学生なら一度はプレイすると言われるほどの大人気作品である。
遥人も当然のようにプレイしていたが、レジェエルに落とし罠を設置できる仕様はない。遥人だけが持つスキル「フィールド改変」のおかげだ。
例えば通常のプレイヤーが掘ることが出来ない地面も、遥人はたやすく掘ることが出来てしまう。一見地味な能力だが、これがチート級のスキルだった。
落とし穴を掘って武器を突き立てた簡単な罠を設置するだけで、モンスターが穴に嵌ってひたすらダメージを受け続けてしまうのだ。やがてモンスターは力尽きてアイテムや経験値となる魔石を落としていく。仕様上、落とし罠は想定外なのだろう。モンスターがポップしては落とし罠で自滅していくおかげで、一晩放置すれば膨大な数のモンスターを倒せていた。
「NPCの村人に転生した時はどうなる事かと思ったけど、フィールド改変スキルさまさまだな!」
村人のためかステータスこそ表示されないものの、敵が楽に倒せるようになることでレベルアップを実感できた。
このだけでもチート級なのだが、さらに凶悪なのは進入禁止のフィールドにも侵入出来てしまうことだ。
1日1回しか入れないボーナスステージに何回も入れてしまうため、莫大な報酬を効率よく入手出来てしまうのだ。
とはいえ、このフィールド改変スキルも制限があり、あくまで「ゲーム世界が現実なら出来そうなこと」に限られていた。いきなり巨大な湖を作ったり、自分のいる場所をモンスター侵入禁止にするなんてことはできなかった。
さらに、元はただの村人である。他のプレイヤーに見つかれば運営に通報されるかもしれない。遥人の性格的にもプレイヤーとの接点は最低限に留めて、ソロプレイを満喫していた。
「今日は、この前見つけた新ステージの洞窟にいくか。モンスターと戦闘しなきゃ運営にバレないだろ」
運営が近々アップデートすると告知していたのだが、そのメインコンテンツが今から向かおうとしてる新ステージ“幻影の洞窟”だ。数日前に進入禁止エリアを散策していると、偶然入口を見つけた。
新ステージをいっそクリアしてやろうかとも思ったが、雑魚モンスターならともかく新ステージのボスを倒したらさすがに運営にバレる。もし運営からBANされたら……おそらく死ぬ。ログアウトしたら、待ってるのは滑落してボロボロになった肉体なのだから。
そうは言っても、戦闘を避けて進めるところまで進んでみたい。新しいステージを先行プレイしたくなるのはゲーマーとしての性だった。
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