第33話
目が覚めると見覚えるのある景色だった。
デカいベッドしか置かれていない、シンプルな部屋。
うちのとはものが違う、手触りの良すぎるシーツをさらりと撫でながら起き上がった。
どうやらあのあと椅子の上で寝てしまったらしい。アホすぎる。
ていうか色々ぶちまけてしまったが、宗一さんは『治療が必要だから病院に行け』という至極当然のことを言っただけ。なにも悪くないのにめちゃくちゃ反抗してしまった。あれは単なる八つ当たりだ。申し訳なさすぎる。穴があったら入りたい。
はあーー、
大きくため息をつきながらリビングに足を向ける。
どう考えも100俺が悪い。謝りたい。が、合わせる顔がない。
恐る恐る覗き込んだ隣の部屋は無人で、拍子抜けした。し、ちよっと安心した。
生活感の無いリビングを横切りキッチンを覗き込む。使用感がなさすぎてさっきの夢だったのではないかと淡い期待を持ちそうになる。
キッチンの奥に通路が見えて、とりあえず進んでみることにした。
トイレや脱衣所、風呂場は通路を進む途中にあり、様子を伺った感じ中に人がいる気配はない。この部屋の主人は外出してしまっているようだった。
いつまでもここ居座るわけにもいかない。自分の家に帰りたいが、一旦彼の帰りを待つ必要があるか。
通路突き当りにようやく出入り口らしきものを発見した。エレベーターのような扉をしておりドアノブや鍵はついていない。
これどうやって出るんだ?
ボタン的なものがないが探すが、無い。じゃあまさか手動?
試したがびくともしなかった。
変な部屋に住んでるな、
開きそうにないドアは諦めてリビングに戻った。
今何時かな、と考えてから一番最初に感じた違和感にようやく気付く。
(この家、どこにも窓がないんだ)
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