第2話

 ︎︎本来勇者召喚とは勇者様一人か多くても数人程度なのだが、結局今回の勇者召喚で呼ばれた人数は四十七人と想定よりとてつもなく多いのだが、集団転移なんかの小説とかを嗜んでいた私からしてみたらこんな事あるんだなぁぐらいにしか思ってもいなかった



 ︎︎勇者召喚が行われて暫く経ったある日、私の仕事場に着くと直属の上司であるお嬢様にお呼び出しを食らった


 ︎︎ここで一応説明をしておくと私は五年前勇者召喚に巻き込まれ、なんだかんだ混乱しているうちに勇者では無いことが発覚した

 ︎︎だが、追い出されたりはしなかった…しかし現実は無情なもんで



 ︎︎よくある小説なんかでは不遇な巻き込まれ召喚者がなんだかんだ色々と元いた世界の知識を使って知識チートするみたいな小説も流行った覚えはある


 ︎︎現実にはただのおっさんである私の覚えている知識や思い付きなんか別に役に立つ訳もなく、


 ︎︎だからと言って訓練して何かに覚醒する気配もなく…一応若干魔法や一般的なスキルの使い方なんかは覚えられたんだが、

 ︎︎若干覚えたぐらいじゃ当たり前だけど現地の人たちに劣るし、本当に何しに来たの私?と思うことが多々あった


 ︎︎だからと言って別に日本に帰れるわけでもなく途方に暮れている時に今のお嬢様に出会った


 ︎︎お嬢様はいわゆる勇者召喚された勇者のハーレムパーティのメンバーだったんだが、当時勇者は何を思ったのか急にハーレムメンバーを住ませる場所を作る的な事を言い出した


 ︎︎その場所を作る為の人員の一人に余っていた私が駆り出された…しかし…


 ︎︎多分勇者は普通の屋敷を作るって意味で言ったか後宮的なアレを作りたかったんじゃないかと私は思うんだが、当時の勇者パーティというか勇者の周りにいる人たちはそうは思わなかったみたいで、ハーレムを住まわせる場所を作るってのは理解してたみたいだけど、規模感が違った…開拓されたその場所は勇者の名前を付けた街がある辺境伯領になっている


 ︎︎屋敷どころか街ですら無く、辺境領全てがハーレムが管理する土地なんだぜ?

意味がわからないだろ?大丈夫だ私も意味が分からない…


 ︎派遣された当初、私も屋敷を作って管理でもさせられるのかと思ってたんだが、そうでは無く辺境領に作る村の一つを管理する村長的な役割である事に気付くまでに一年近くかかった…


だって、最初勇者パーティの屋敷作りってゆうか城作りから始めたんだよ…分かるわけないやん!


私だって一応おかしいなって思ってたんだよ!



 ︎︎こんな辺境に城作ってどうすんだと思いながら、城作りが終わってこれからどうするんだろうと思ったら今度は周りに町を作る説明をされて、町作りが終わったら今度は道を作らされて、四方に道が開けて来たなと思ったら今度は簡易な地図上に何個か点を打たれたと思ったらここに村を作りますとか言われて、毎日ヘトヘトになってなんも考えれ無くなってたら気が付いたらその村の一つを管理する事になってたんだよ、なんでだよ!


 ︎︎まぁ、この世界の人間は魔法やスキルがあるお陰で超人的な力を発揮する人が結構いて、城も街もあっという間に出来上がったんだが



 ︎︎ちなみにお嬢様に初めて会ったのは村長になって暫く経った頃に、私の村を含めた数ヶ所の村長が街に呼ばれ、私達の上司である管理官として紹介されたのが今のお嬢様である


 ︎︎最初の頃は村長と管理官とゆう立場ではあったが、辺境領が大きくなると同時に管理官の仕事が回らなくなったとかで村長を他の人間に任せてお嬢様の補助として働く様に命じられ現在に至るんだが…ぶっちゃけ、今は暇だったりする


 ︎︎お付きの一人として命じられた当初こそ頭が禿げるんじゃないかと思うぐらい忙しかったが、次から次へと新たな人材が取り入れられ、その人材のほとんどが私よりも優秀だったりするもんだから気が付けばちょっとした使いっ走りみたいな仕事しかする事が無くなっていた



 ︎︎最近は周りからいらない人認定されている自覚もあり胃がキリキリする中、今回の勇者召喚である


 ︎︎ちなみに他国の事とはいえ、また勇者召喚するとゆう話しが出た当初は我が国の勇者様や勇者様を遣わせて下さった神様に失礼では無いかとゆう話しもあったりはしたんだが、教会やコチラの国の勇者とは役割が違うとかなんとかで勇者召喚される事になった…らしい


 ︎︎いやぁ…うん、お嬢様がそう言ってたからそうなんだろう…知らんけど


 ︎︎そんなわけで、先日一応私も異世界出身者とゆうことで新たな勇者様をお迎えするのに相応しいのではないかとして、勇者召喚が行われる場所に呼び出され

ステータスを書き写す仕事を与えられたんだが、


書き写してお偉いさんに書き写した物を渡すと仕事が終わった

周りが混乱していたのもあり…他にやる事も思いつかず気が付いた時には帰途についていたんだが


 ︎︎帰ってる最中お嬢様にめちゃくちゃ怒られた…そりゃそうだよなぁ


 ︎︎ただステータスを確認して書き写すだけなら私じゃなくても良いし、勇者様方があれだけいたんだから誰か一人だけでもこちらから声をかけて不安を取り除くなり、仲良くなるなりやれる事はあったよな


 ︎︎我が国としても政治的な意味でも友好的な態度は示さないといけないわけだし…じゃあそう言っといてくれよとかダメなおっさん使うなよとか言うのは駄目なんだろうなぁ…



 ︎︎そんなわけで今日なんで呼ばれたのかも分からないまま、久々にお嬢様に呼び出しをされ、めちゃくちゃ胃がキリキリしていた…


「貴方の後任が見つかったから明日から倉庫番ね」


「…えっと、クビではなく?」


「なに?すぐにクビになりたいの?」


「いえいえ!かしこまりました!」


このような話しをされ、そのあとなんか他国まで連れて行った従者を即クビにするのは貴族的に体裁がなんたらかんたらとお嬢様の側近のような仕事をしているおっさんに説明を受け、一年程様子を見て時期が来たら解雇になると説明を受けた


結局クビなのか…と先の見えない不安で暗い気持ちになったが…とりあえず一年ぐらいは猶予をもらえたと思って頑張るしかないだろう…


とりあえず…新しい仕事を見つけないとなぁ

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