寄生虫妄想症候群
ふぃる汰@単行本発売中
第1話 寄生虫妄想症候群
身の毛もよだつホラーや摩訶不思議な都市伝説、はたまたヒトコワや呪物や陰謀論がお好きなアングラ住民の皆さま、いつもお世話になっております。
突然ですが、皆さまは『寄生虫妄想症候群』という病をご存知でしょうか。
まあ、一言で説明すると想像妊娠の寄生虫版ということになりますが……今回はこちらの『寄生虫妄想症候群』について少しお話しできればと思います。
その前にひとつ、本当にあった寄生虫感染のお話しを挟ませていただきます。
このお話しのような症状がある方は、妄想ではなく本当に寄生虫に感染している可能性がありますので、今すぐかかりつけの病院へ。
これはロシアに住んでいる、とある女性の身に起きたお話です。
ある日、彼女の左目の下にものもらいができてしまいました。要するに下まぶたが腫れぼったくなったってことですね。
しかし彼女は『仕事が忙しくて病院に行けないし、ものもらいくらいほっとけばそのうち治るでしょ』というような考えで、眼科の受診を引き延ばしていました。
しばらくして左目の下にあったものもらいは治りましたが、今度は左目の上まぶたが腫れてしまいました。しかも前回より腫れがひどい。
せっかく治ったのにまたかと彼女は思いました。
しかしここでも彼女は『またそのうち治るでしょ』ってことで、特になにもせず放置してしまいました。
それからしばらくして、無事に左目の上まぶたの腫れも治まりひと安心の彼女。
しかし、ここから更に症状は悪化していきます。
なんと、今度は唇がかなり大きく腫れてしまい、しかも今までとは違って焼けるように痛かったり、疼くような痒みがありました。
さすがに我慢できないということで病院に行った彼女。
そこで診察した医師から告げられた診断結果はなんと……
『現在、あなたの唇の内部には寄生虫が潜んでおり、皮膚の下を移動しながら成長しています』
その後、腫れている皮膚を切り開いたところ、細長い糸状の寄生虫が取り出されまして、犬や猫に感染するフィラリアの一種だということが判明しました。
彼女は以前外出した際に、複数の蚊に刺されたと話しておりまして、その時に感染したのではということでした。
いやあ、恐ろしいですね……寄生虫感染に関しましては、日本では他の国と比べると発生することは稀ですが、夏場は蚊が多いですし、海外では今回取り上げた事例以外にも、お刺身、生野菜サラダ、ローストビーフ、魚介類の踊り食いなどで感染事例がありますので、生ものは特に気を付けてくださいね。
ナメクジとかも生で食べちゃダメだよ。
さて、それではここから先は皆さんお待ちかね『寄生虫妄想症候群』についてのお話しになります。
これは実際には寄生虫に感染していないにもかかわらず、自分の体内に寄生虫がいると思い込み、皮膚が疼いて痒みを感じたり、存在しない寄生虫を取り除こうとして皮膚を掻きむしったり、削ったり……いわゆる幻覚症状と言いますか、精神疾患のひとつですね。
ひどい人なんかは糸くずとかほこりが寄生虫に見えて、それをお医者さんに見せて『これが感染している証拠です!』みたいな感じで言ってくるらしいです。
最初に想像妊娠と例えましたが、ひぐらしの雛見沢症候群のL5発症状態の方が近いかもしれません。
そんな感じで症状の説明は以上になります。いやあ、怖いですねえ。
それでは最後に、この『寄生虫妄想症候群』の発症起因となるものをご紹介したいと思います。
もともと鬱の症状がある人、アルコール依存症や薬物依存症、事故などの後遺症で幻覚が見える人。
老化による認知の歪みなども原因になるそうです。
あとはそうですね……テレビやネット、知り合いから寄生虫についての情報や知識を得た人、寄生虫感染の話を聞いた人なんかが発症しやすいらしいです。
というわけで、今回のお話しは以上になります。
わたくしの稚拙な文章を最後まで読んでいただき誠にありがとうございます。
ですが、今回読んだお話しは早急に忘れていただいて、くれぐれも『寄生虫妄想症候群』を発症しないようにお気を付けください……
寄生虫妄想症候群 ふぃる汰@単行本発売中 @saw92
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