いつのいつか
海来 宙
episode 1 十人と別れた美少女
一週間後に別れを切り出した時の絵を浮かべたらあなたの顔がやばかったからごめんなさい。
そんな理由で
そういう〝覚悟要求〟もなく、今回はいきなり断った。
――最下位、ということか。
二年八組の轟
「だからって、みんないる前で言わなくてもいいだろ祥子」
「十一回目ってその『みんな』が知ってるんだから問題ないじゃない」
何か悪いことした?と開き直りで両手を広げる祥子に俺はあきれて天井を仰いだ。彼女は去年轟のクラスメートだった。
――美人すぎて声を掛ける男がいないのね。
一年間球拾いにばかり勤しんできた轟があいつの過去を知らなくて何が問題かというと、八組の女子たちが淋しい美人だと噂した相手を誤認して彼が勝手に乗せられたのが一つ、もう一つは彼が伊津佳に「男性経験
――先生は、恋に生くると心
何と短歌になっており、まるで百人一首大会のように大仰な色で歌を詠む伊津佳。漢字は破局した後に誰かが聞き出したのだが、昨年度の担任は国語ではなく数学の先生だぞ?
いやいや伊津佳に常識は通用しない。女子からは苗字「五野」をもじって「いつの」と呼ばれる彼女は、そこから〝いつの〟時代の女だよと俺に思わせた。当の
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