第2話 成人の儀
『成人の儀』それはこの国に伝わる伝統の祭りごと。毎年行われ、各村に住んでいる年齢が15になった者を集め天界より「スキル」を授かるためのものである。この祭りには毎年多くの客が集まり、楽しみながらも今か今かと儀式が執り行われるのを待っている。
「やっとこの日が来た。これで俺もはれてスキル持ちの仲間入りだ」
喜々とした表情を浮かべるのは今年15になった少年『村雨春雅』(むらさめはるまさ)だ。家族や村の仲間に見送られてこの王都へやってきた。
儀式が始まるまでまだ時間があるから屋台巡りをしよう。
「たこ焼き、焼きそば、チョコバナナ! んん~どれも最高!」
そういいながら両手いっぱいに食べ物を抱えているのは妹の『村雨夏希』(むらさめなつき)だ。
「そんなに食べると、また眠くなるよ」
「大丈夫だって! それよりも、これおいしいよ! おにぃも食べて食べて! はい、あ~ん!」
向けられた料理を食べると、口いっぱいにおいしさが広がってきた。
(こんな可愛い妹と一緒に生活できるなんて、幸せ者だな僕は)
そんなことを思っていると従者を従えた男の子が近づいてきた。
「おやおや、これはこれはだれかと思えば隣の貧相な村の春雅くんじゃないか」
「うわ、あいつまた来たよおにぃ」
「さがってろ」
近づいてきたのは部区たちが住んでいる『花園村』の隣町の富豪『宝塚光國』(たからづかみつくに)だ。
「何しに来たんだ光國、なにか用か」
「君ではなく、君の後ろに隠れてるかわいい妹ちゃんにね」
光國の手にはいつものようにバラの花が1輪あった。
「これを愛しい君に捧げよう。今から僕の隣で僕の晴れ舞台を見てくれないかい」
「きっも」
「だってさ」
「うるさい! まあいいだろう。この後の儀式で僕が『閃光の勇者』の力を手に入れ再び君の元へ来るからその時に答えを聞くとしよう」
いつも懲りないやつだなと思いつつ時間が近くなったため会場の受付へと急ぐ
「最後、花園村の村雨春雅」
「ここです」
名前を呼ばれて列に並ぶ。
いよいよだ、ついに来たぞ、この時をまっていた。
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