第11話 二人が始める物語

 二人が始める物語


 二人で 一つの物語りを 

 作れなかった 二人

 一人づつ 別の物語りを 

 作って行くんだ

 君が始めた 物語の中に 

 僕はいない

 君のいない 物語りを 

 僕も始めなけりゃ いけないね

 でも少しぐらい 

 休んでも良いよね

 それから初めても 

 君に追いつきたい 訳じゃない

 今はまだ 君のいない左側に 

 慣れない

 僕の左手はまだ 

 君の右手を恋しがる

 いつか忘れられる 

 心の穴は塞がるんだ

 でも その事さえもが 

 今は悲しい


 夕陽に 二つの影法師が 

 重ねられない二人

 一人づつ 別の帰り道を 

 辿って行くんだ

 君が見つめる 彩りの中に 

 僕はいない

 僕が見たい 景色の中 

 君を消さなけりゃ いけないね

 只ほんの少し 

 残しても 良いよね

 そこから始めても 

 君を追いかける 訳じゃない

 今はまだ 君のいない左側に 

 慣れない

 僕の左手はまだ 

 君の右手を恋しがる

 いつか忘れられる 

 心の穴は塞がるんだ

 でも その事さえもが 

 今は悲しい

 

 いつの日か 

 君のいない左側に 

 慣れてさ

 僕の左手は 

 ただ誰かの右手を掴めるの?

 それで忘れられる 

 心の穴は消せるのかな

 まだ その事さえもが 

 信じられない

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